出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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骨格系と筋肉執筆者:浜松大学健康プロデュース学部心身マネジメント学科教授 竹内修二

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体の骨組みと骨のはたらき

 私たちの体は約200個の骨が互いに結合して、頭蓋骨、脊柱、胸郭、骨盤、上肢骨、下肢骨の骨格を形成しています。胸郭と骨盤は、脊柱と下肢の骨の一部が骨格の構成に加わっています。

全身の骨格

 骨のはたらきには、①頭や内臓を支え、身体の支柱となる支持作用。②いくつかの骨が集まり骨格を形成し、脳や内臓などの重要な器官をおさめ保護する保護作用。③付着している筋の収縮により、関節を支点として運動を行う運動作用。④造血機能のある赤色骨髄において、赤血球、白血球、血小板を絶えず新生する造血作用。⑤カルシウム、リン、ナトリウム、カリウムなどの電解質を骨中に蓄え、必要に応じて骨から引き出し、血流によって送り出す電解質の貯蔵作用などがあげられます。

骨の構造と成分

 骨は関節面を除いて骨膜に包まれ、緻密質と海綿質からなる骨質と髄腔内の骨髄より構成されています。骨膜は骨を保護するとともに骨の成長や再生の役目があり、骨髄は赤色骨髄と黄色骨髄とに区別されます。骨の主成分は、にかわ質とカルシウムの化合物です。

骨の構造

骨の発生・成長と結合・関節

 骨の発生には軟骨性と結合組織性の骨発生があります。軟骨性骨発生は胎生期に骨の原型をなす軟骨が発生し、その軟骨組織が壊されて骨芽細胞が現れ、骨組織に置き換わり骨化します。結合組織性骨発生は結合組織内に骨芽細胞ができ、骨細胞となります。

 骨の成長は、骨端部の軟骨(骨端軟骨)の増殖により長くなり、その軟骨が骨化することで長さが成長します。骨の太さの成長は、骨膜から骨芽細胞が出て骨膜内面に骨質を作り、骨に付加されることにより太くなります。

 骨の結合には、結合部が不動性で両骨間に多少の結合組織や軟骨が介在している不動結合と、2~3個の骨の連結部が可動性を持つ結合様式の可動結合(関節)とがあります。

関節の構造(可動結合)

動かないつながり方(不動結合)

筋肉のはたらきと組織

 筋肉は、体を動かす運動だけではなく、呼吸運動や胃腸の消化運動などにもはたらきます。筋肉の組織は筋細胞(筋線維)が主体となり、多数の神経や血管が侵入し、結合組織が介在しています。

全身の筋肉

 その構造やはたらきの違いによって骨格筋、平滑筋、心筋の3つの種類に分けられています。

筋組織の分類

骨格筋…普通、筋肉というと骨格筋をさしています。横紋が見られるため横紋筋ともいい、自分の意志で自由に動かせる随意筋です。腕や足の筋肉、腹筋、背筋などがあります。

平滑筋…内臓筋ともいわれ、自分の意志で自由に動かしたり、止めたりすることのできない不随意筋です。消化器や泌尿器の壁となっている筋肉などで、胃や腸を動かしたり、尿などを運ぶはたらきをします。血管の壁も平滑筋からできています。

心筋…心臓だけにある筋肉で、心臓の各部屋の壁を作っています。一生の間、縮んだり膨らんだり、状況に合わせて規則正しくはたらかなければならない不随意筋で、最も大切な組織の一つといえます。