出血時間執筆者:昭和大学病院医学部医学教育推進室教授 高木 康/昭和大学横浜市北部病院病院長 田口 進

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血小板や血管系の異常などを調べる検査です。服用している薬剤によっては出血時間が延びるので、その旨を伝えましょう。

 デューク法は、耳朶をランセットもしくはメスで傷つけ、まず30秒後に出血液をろ紙で吸い取る。その後、30秒ごとに出血液を吸い取り、血痕の大きさが1mm以下になったところ(図では4分30秒)が出血時間となる。最初の血痕の直径が10mm以上でないと、正しく検査できていないとされている。

 アイビー法では、前腕に傷をつけてデューク法と同様の方法を行う。

医師が使う呼び方:「しゅっけつじかん」

出血時間の基準値

デューク法:2~5分

アイビー法:2~6分

出血が止まりにくいか、止まりやすいかを調べる検査

 出血時間は、一定の大きさと深さの傷を耳たぶや腕につけて、皮膚から出血した血液が自然に固まって止まるまでの時間を測る検査で、血小板、血液凝固と毛細血管の機能を反映します。とくに、血小板の粘着能力と凝集能力は大きく影響します。

 この検査は、皮膚内の浅い部分に点状の出血斑や紫斑(しはん)、あるいは鼻出血などがあるときに、血小板系や血管系の異常を疑って行います。

 また、血小板数が正常でも、出血がみられ、血小板機能異常が考えられるときは、第一にこの検査で調べます。

手術前の基本検査のひとつ

 手術は体を傷つけるため、手術前に傷からの出血が止まるか否かの検査をしておく必要があります。このために、出血時間は大切な検査として行われています。

 ただし、この検査では、いつも一定した測定値が得られるとは限らないため、最近では血小板数や血漿(けっしょう)を用いた凝固検査(プロトロンビン時間や活性化部分トロンボプラスチン時間)で、その能力を推定する方向にあります。

検査を受ける前はアスピリンや消炎薬は休薬

 デューク法、アイビー法などがあり、日本では普通、デューク法で測定しています。これは、耳たぶにランセットと呼ばれる刃物で傷をつける方法で基準値は2~5分、一方のアイビー法は、前腕を傷つける方法で基準値は2~6分です。

 この検査を受けるときは服用している薬剤に注意します。解熱鎮痛薬のアスピリンや消炎薬のインドメタシンなどは、出血時間を延長させます。影響がなくなるまでに1週間程度の休薬が必要ですから、服用したときはその旨を伝えてください。

延長・短縮しているときは10~14日後に再検査

 基準値外であれば再検査をしますが、延長の場合は上で述べたような薬剤を休薬し、10~14日後に測定します。

 延長の場合は、血小板の減少か血小板の機能異常によるものかをまず究明し、血小板の減少が3万/μl以下ならば大出血の危険性が大きいため、血小板補充(血小板輸血)を行います。

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疑われるおもな病気などは

  • 延長

    血小板減少:再生不良性貧血、急性白血病、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、播種(はしゅ)性血管内凝固症候群(DIC)、重症肝機能障害など
  • 血小板機能異常:血小板無力症、ベルナール・スーリエ症候群、尿毒症、全身性エリテマトーデス(SLE)など

  • その他:薬剤(アスピリン、インドメタシン)、遺伝性出血性毛細管拡張症(オスラー病)など

  • 短縮

    血栓症(脳梗塞、心筋梗塞)、ネフローゼ症候群、動脈硬化症など
出典:四訂版 病院で受ける検査がわかる本 2014年7月更新版