出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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重症複合免疫不全症
じゅうしょうふくごうめんえきふぜんしょう

重症複合免疫不全症とは?

どんな病気か

 Tリンパ球とBリンパ球の両方に先天的な欠陥がある病気で、重症な細菌性、ウイルス性その他の感染症を繰り返し、致死的な感染症のため血液幹細胞移植や遺伝子治療によって免疫機能が再建されなければ、大多数の患者さんが生後1歳前後までに死亡します。

原因は何か

 X(染色体)連鎖型、あるいは常染色体劣性型による遺伝子の変異により、リンパ球減少や低γ-グロブリン血症を来し、重症の細胞性免疫能の欠陥と特異抗体の欠乏症を示すことが原因です。

症状の現れ方

 生後まもなくより反復する細菌、ウイルスによる気道感染、皮膚・口腔粘膜のカンジダ症肺炎膿胸敗血症、間質性肺炎などの易感染性(感染しやすい)を特徴とし、生後5カ月ころから難治性下痢症による体重増加不良が顕著になります。

検査と診断

 免疫学的所見として、末梢血リンパ球数は減ります。血清免疫グロブリンはすべてのクラスが欠乏します。時には低値ながらも認められることもありますが、抗原に特異的な抗体は完全に欠如します。遅延型過敏反応、細胞障害反応などのT細胞機能も欠如します。

治療の方法

 組織適合抗原(HLA)が一致した同胞からの血液幹細胞移植によって、約90%が免疫機構を再建し直すことができるとされています。また、一部の疾患では遺伝子治療の成功例が報告されています。

重症複合免疫不全症と関連する症状・病気

(執筆者:札幌医科大学医学部小児科学講座教授/札幌医科大学医学部小児科学講座教授 堤 裕幸)

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