腸脛靭帯炎
ちょうけいじんたいえん
- 整形外科
- 診療に適した科
もしかして... 鵞足炎
腸脛靭帯炎とは?
どんな病気か
大腿筋膜張筋は、膝の近くでは丈夫な筋膜となって脛骨に付着します。この筋膜と大腿骨外側の突出(上顆)が摩擦を起こすことで痛みが生じる病気です(図41)。膝がO脚の人や、足関節が回外足など下肢のアライメント(骨や関節の並び方)に異常のある人の発症が多いとされています。また、発育期で骨の成長に筋、筋膜の成長が追いつかず、筋・筋膜の緊張が強い人にも症状が出やすいとされています。
一般には、男性で長距離走を行う人の発症が多いので、ランナーズニーとも呼ばれています。典型的な使いすぎ(オーバーユース)症候群のひとつです。
症状の現れ方
初期は、長距離を走ったあとに膝外側部に疼痛が生じます。進行すると膝の屈伸に伴って疼痛が生じてランニングは困難となり、さらに進行すると歩行や階段昇降などの日常生活動作でも疼痛が強くなります。
検査と診断
ランニングに伴う膝外側の痛みであり、膝を軽く屈曲して腸脛靭帯を圧迫すると強い痛みが再現できる(グラスピングテスト陽性)場合にこの病気と診断されます。単純X線検査やMRI検査では通常異常を認めません。
治療の方法
基本は保存治療で、急性期ではランニング(とくに下り坂の走行を禁止することが有効)の制限などで安静にし、アイシングを行います。ステロイド薬の局部注射は効果がありますが、腱の断裂の誘因やドーピング陽性になるのですすめられません。
多くの場合、トレーニングのしすぎによる発症であるため、安静にしていれば症状は軽快することが多いとされています。
症状が強い場合や保存治療で再発を繰り返す場合には、腸脛靭帯のリリースや部分切除を行う外科的治療がすすめられます。
予防対策はどうするか
予防としては、足底装具の装着や腸脛靭帯と股関節周囲筋群のストレッチです。本症の発症後は、トレーニングメニューの変更やオーバートレーニングの防止が望まれます。
腸脛靭帯炎と関連する症状・病気
おすすめの記事
腸脛靭帯炎に関する医師Q&A
腸脛靭帯炎の治療方法について
腸脛靭帯炎 日帰り13時間の登山で、右ひざ外側が痛くなりました。転んだり、ぶつけたりしたわけではない…
水泳で腸脛靭帯炎(ランナー膝)が再発しました。
2年前にマラソンをはじめ、当時は10km~20kmを週に3回程度は知っていました。そして、1年前に、マラソン…
普段は痛まないのですが、 ランニングを20分ぐらい続けると左膝が痛み出し、困っています。 病院でMRI…