出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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磁性アタッチメント
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磁性アタッチメントとは?

磁性アタッチメントとは

 磁性アタッチメントとは、磁石の力を利用して入れ歯を支台歯(支えとなる歯)に連結し、その維持、安定を図る装置のひとつです。基本形態としては、入れ歯に磁石を埋め込み、これにくっつくキーパーと呼ばれる磁性ステンレス鋼を歯の根に土台として埋め込みます(図46図46 磁性アタッチメント)。

利点と欠点

 普通の入れ歯は、あごの形や歯の位置の状態によってがたつきやすくなったり、長く使用することによって、バネなどが変形してしまうことがあります。これに対して磁性アタッチメントには、

①長期間の使用においても壊れにくく維持力が失われない。

②キーパーの厚さや磁石とキーパーとの間隔を変えることで、維持力のコントロールが確実かつ簡単にできる。

③どの方向からも入れ歯を出し入れできる。

④見た目がよい。

⑤できあがった入れ歯は複雑な形ではないので、取り扱いが簡単である。

⑥入れ歯を取り外す時に歯に余分な力がかかりにくい。

などの利点があります。

 欠点としては、

①磁石を入れるためのスペースが義歯に必要であり、義歯床が薄くなると義歯破折の危険がある。

②義歯の下に歯の根があるため、むし歯歯周病を防ぐための歯ブラシがかけにくい。

③歯科医療保険の適応外の治療で、費用が高くなる。

などがあげられます。

(執筆者:日本歯科大学歯学部附属病院長 羽村 章)

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コラムインプラントと歯周病

日本歯科大学歯学部附属病院長 羽村章

 歯は、歯槽骨との間に歯根膜という組織を介して植立しています。また、歯と歯ぐき(歯肉)は付着上皮という組織で付いていて、体のなかと外を封鎖しています。

 歯周病とは、歯周病原因菌による感染症で、歯を支えている歯周組織の病気です。炎症が歯ぐきだけにある時は歯肉炎と、歯根膜に炎症が及び歯槽骨が溶けてなくなると歯周炎と呼ばれています。

 一方、インプラントは、周囲の歯槽骨とインプラント表面が接合した状態で支えられていて、歯根膜はありません。歯ぐきとの境目には付着上皮はなく、ただ単に粘膜と付いている状態です。そのため、インプラント周囲には歯周組織はないので、歯周病という名の病気は存在しません。

 しかし、インプラントにも周囲組織はあるので、インプラント周囲炎はあります。歯周病と同じように、インプラント周囲組織の炎症が起きたり、歯槽骨が溶けてなくなることがあります。しかもこれらの症状は歯周病よりも早く重度に現れます。

磁性アタッチメントに関する医師Q&A