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[患者さんの相談事例] 2011/12/09[金]

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 現代の医療現場では、自分なりの判断や意思決定が求められます。患者側にだって、治療パートナー(医療者)と上手に対話して、疑問解消・意思伝達できるコミュニケーションスキルがあった方が良いですね。
 ここで紹介する「相談事例」は、患者側視点に基づくもので、実際にはもっと他の背景があったかもしれませんが、「私ならどうするか」を考えてみませんか?

患者さんから実際にあった電話相談

父が急性心筋梗塞で亡くなったのですが、倒れる前日に受診したクリニックが前兆を見落としたのでは?(45歳・男性)

 1ヵ月前に、父が急性心筋梗塞で亡くなりました。自宅で倒れ、救急車を呼んで病院に搬送したのですが、病院に着く前に心停止してしまったのです。
 父は60代のころから高血圧症だったので、近くのクリニックにかかり、検査を受けたり薬を出してもらったりしていました。75歳の母も具合が悪いと同じクリニックに行っていたのですが、院長は明確な治療方針を示してくれないし、言うことがコロコロ変わるので、私(息子)は両親が通院することを快く思っていませんでした。しかし、「年を取ると遠くに受診するだけで疲れる」と両親が言うので、しぶしぶ見守るしかありませんでした。
 しかし、父が倒れた前日もクリニックを受診していたことがわかり、何らかの兆候があったのに見つけられなかったのではないかと思いました。そこで先日、クリニックを訪ねて院長に前日の様子を尋ねました。すると、「私が見落としたとでも言いたいのですか? あの日、お父さんはいつもと変わらない様子でした。突然起きるから急性心筋梗塞なんですよ」と頭ごなしに言われました。
 私は納得できず、「それならこれまでのカルテや検査記録をすべて開示してください。どんな検査をしていたのか、何を診てもらっていたのか検証します」とカルテ開示を要求したのですが、「それには応じられません。もし開示するとしても、少なくとも2週間ぐらい先になります。コピーをとって、原本とすり合わせるなど、手間がかかりますから。なので、少なくとも手数料として1万円は支払っていただきます」と言われました。きっと時間をかけて、都合の悪い部分を抜き取ったり、書き直したりするのでしょう。このようなクリニックの院長の態度は許されるのでしょうか。

より良いコミュニケーションを目指そう!患者さんこうしてみては・・・?
 ご家族にしてみれば、急性心筋梗塞を起こす前日に受診していたのだから、何か兆候や異常があったはずと思われるのも当然でしょう。それを確認したくて出向いたのに、完全否定されたり、即日のカルテ開示を拒まれたりしたことで不信感を抱いてしまわれたのだと思います。
 ただ、病気のなかには突然発症するものや、前日でも兆候が見られない場合があります。あるいは、何か具体的な症状を訴えていればともかく、受診したというだけで全身の状態をすべて掌握するのはドクターでも困難です。お父さんの場合も、何か症状を訴え始めたのはいつごろだったのか、身近な人に確認することも大切でしょう。
 息子さんはかねてよりこのクリニックのことを快く思われていなかっただけに、より「前日に見つけられなかったのではないか」という思いを持ってクリニックを訪ねられたようでした。やはり、人間は思っていることは態度に表れます。相対する人が自分に不信感を抱いていることは容易に伝わりますから、院長の態度をかたくしてしまったのかもしれません。とても難しいことですが、このような場合は冷静に、まずはニュートラル(偏らない中立的な立場)に話し合いに臨むことが大切だと思います。
より良いコミュニケーションを目指そう!医療機関さんこうしてみては・・・?
 前日に受診していたというだけで急性心筋梗塞の前兆を見落としていたかのように言われれば、何か言いたくなる気持ちも理解できます。しかし、そうしたときの対応の姿勢次第で、患者側の不信感をより一層深めてしまうこともよくあります。まずは、落ち着いて相手の意見にしっかり耳を傾けることが大切だと思います。
 また、カルテ開示については、大きな病院よりクリニックなど小規模な医療機関のほうが拒否的な態度を示されるようです。これからは、開かれた態度がより求められると思います。
※写真はイメージです

この実例紹介とアドバイスのご提供は・・・


NPO法人
ささえあい医療人権センターCOML

理事長 山口育子

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