[ウンチから、腸内環境がわかる!] 2010/06/18[金]

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腸内環境が悪いと、健康にどんな影響が出るのですか。
 大腸の病気、例えば潰瘍性大腸炎は腸内細菌が関与していると見られていますが、大腸だけではありません。「乳酸菌の1種でアトピー性皮膚炎の発症率が変わる」という論文が発表されたり(2001年4月『ランセット』掲載)、「肥満に関係している腸内細菌がある」という論文が発表されるなど(2006年12月『ネイチャー』掲載)、広い範囲での影響が研究されています。

腸内細菌と疾患との関係
がんとも関係があるのですか。
 大腸がんと腸内細菌のメカニズムは、ここ40年ほど、腸内細菌学者にとって大きな研究命題です。現在では少なくとも6種類の悪玉の腸内細菌が、一次胆汁酸を二次胆汁酸(デオキシコール酸やリトコール酸などで、発がん促進物質=プロモーターと考えられている)に変換することが分かっています。6種類のうち3種類は私達の研究グループが突き止めたものです。私達の動物実験では、これらの二次胆汁酸を健康な動物に与え、さらに発がん物質を与えると100%の確率で大腸がんが発生しました。実際の人体でのがん発症との関係性についても、近いうちに明らかになるのではないかと予想しています。

年齢とは関係あるのですか。
 実は、年齢とともに、善玉菌は減っていく傾向があります。高齢者の方や老人介護を経験したことがある方は知っているかと思いますが、老人になると便が細くヒョロヒョロになるうえ、臭いもきつくなってきます。加齢にともなって悪玉菌が増えて、アンモニア、硫化水素などの腐敗物質や、おならの元となるガスを発生しやすくなるからです。
歳をとると悪玉菌が増えるなんて。。。
 母乳や粉ミルクを飲んでいる赤ちゃんは、ビフィズス菌が腸内細菌の60-90%まで占めます。つまり、圧倒的に善玉菌が優勢な状態です。ところが離乳食が始まってからは、日和見菌や悪玉菌が増えていきます。そして20代にはビフィズス菌が22-25%、50代では5-8%と激減します。一方で、悪玉菌のクロストリジウムが10-12%を占めるため、悪玉菌優位になりがちです。
人によって傾向は違うのですか。
 勿論です。腸内環境の老化現象が進むスピードは、食生活などによって大きく変わります。最近は、若い人達の腸内がどんどん高齢化している印象ですね。悪玉菌が好きな高タンパク・高脂質の食事や、ダイエットからくる便秘などの影響と思います。皆さんも、「腸年齢チェックテスト」を使って、自分の腸年齢を調べてみてください。
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