脳波検査執筆者:昭和大学病院医学部医学教育推進室教授 高木 康/昭和大学横浜市北部病院病院長 田口 進

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脳の活動の変化や機能的異常を調べる検査です。検査時間は、検査法により異なりますが、通常は約30分ほどです。

医師が使う呼び方:「のうは」

てんかんや頭部外傷を調べるとき重要な検査

 脳の神経細胞の活動は、微細な電気的変動として現れます。脳波とは大脳皮質表面の電気的変動を頭皮上に電極をつけて誘導し、増幅させて記録したものです。てんかんでは、小発作、大発作、精神運動発作など発作の種類によって特徴的な波形を示し、診断上、脳波検査は重要です。

 また、頭部外傷で脳の組織は壊れてはいないが働きが悪くなった場合でも、脳波の波形によって脳の活動の変化、脳の機能的異常を知ることができます。

 その他、脳波の検査では脳動脈硬化症、脳血管障害、脳腫瘍、肝性昏睡(こんすい)などが診断できます。

刺激を与えながら検査する

 シールドルームと呼ばれる電気的に隔離された検査室で行われます。検査台にあお向けになり、頭皮に10数個の電極を、ペーストと呼ばれる糊をつけて固定したのち、脳波を測定します。

 脳波検査の種類には、安静時の脳波を調べるほかに、深呼吸したり、目を開閉したり、光や音の刺激を与えたり、薬物を注射したり、眠ったり(睡眠薬による誘発睡眠や自然睡眠)して脳波を調べる検査(脳波賦活(ふかつ)法という)などがあります。

 検査時間は、どの脳波賦活法を行うかによって異なります。通常は30分程度ですが、2時間くらいかかることもあります。

α波は安静閉眼時に出現して正常

 脳波には、図のように基礎波と突発性異常波があり、それぞれに意味があります。

 基礎波のδ(デルタ)波は病的、θ(シータ)波は生理的(徐波(じょは)は機能低下を示す)、α(アルファ)波は安静閉眼時に出現して正常、β(ベータ)波は安静開眼時に出現して正常~やや刺激されている状態です。

 突発性異常波は、異常興奮しているときに出現します。

 なお、徐波とは基礎波のα波より遅い波、棘波(きょくは)とは波の持続時間が12分の1秒以下のトゲのような波のことです。

検査前後は洗髪を

 検査の前の飲食は、普段と同じでかまいません。電極は糊で頭皮に固定するため、検査前には洗髪して清潔にし、終わったら糊を洗い流してください。

 検査時間が長くなる場合に備え、トイレは済ませておいてください。

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疑われるおもな病気の追加検査は

  • 脳血管障害、脳腫瘍

    頭部CT、MR、PET-CT、頭部血管造影など
  • 頭部外傷

    頭部CT、頭部血管造影など
  • てんかん

    頭部CTなど
出典:四訂版 病院で受ける検査がわかる本 2014年7月更新版