血圧測定検査執筆者:昭和大学病院医学部医学教育推進室教授 高木 康/昭和大学横浜市北部病院病院長 田口 進

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普段の健康状態を知るうえでも重要な検査です。緊張や興奮、運動などで変動するため、検査の15分ほど前から安静にします。

医師が使う呼び方:「ドゥルック」=ドイツ語のDruck(圧)から
血圧値の分類(日本高血圧学会)
分 類 最高(収縮期)血圧 最低(拡張期)血圧
至適血圧 120未満 かつ 80未満
正常血圧 130未満 かつ 85未満
正常高値血圧 130~139 または 85~89
I度高血圧 140~159 または 90~99
II度高血圧 160~179 または 100~109
III度高血圧 180以上 または 110以上
(孤立性)収縮期高血圧 140以上 かつ 90未満

高血圧、低血圧を診断する検査

 血圧とは、心臓のポンプ作用により全身に血液を送り出すときの圧力のことで、心臓が収縮したとき最高血圧(収縮期血圧)に、心臓が拡張したとき最低血圧(拡張期血圧)になります。

 血圧は、①心臓のポンプ作用の変化、②末梢血管の抵抗性の度合い、③全身の血液量、④血液の粘り度、⑤血管壁の弾力度、などによって変動し、これらのどれかがおかしくなると高血圧、低血圧になります。

生活習慣病の危険因子、高血圧

 高血圧と動脈硬化には、深い相関関係があります。動脈硬化がおこって血管の壁が硬く狭くなると、血管は拡張しにくくなるため、最低血圧が上昇します。すると、脈圧(最高血圧-(マイナス)最低血圧)をある程度に保つために、最高血圧を高くしなければならなくなり、高血圧になります。

 一方、高血圧の状態が続くと動脈に負担がかかり、血管に障害が生じて動脈硬化を引きおこします。

 高血圧が続くと、血管によって養われている全身の器官、とくに脳や心臓、腎(じん)臓に障害が生じてきます。例えば、脳の血管が高血圧に耐えきれずに破綻(はたん)すると、脳出血がおこります。高血圧は生活習慣病の発症と密接な関係があります。血圧は、ふだんの健康状態を知るうえでも重要な検査であり、自分の血圧を知っておく必要があります。

検査前は15分ほど安静に

 血圧は、精神状態(緊張、興奮、ストレス)や運動などで大きく変動するため、検査の15分くらい前から安静にしてください。

 病院では、水銀柱血圧計で測定しています。椅子に姿勢を正して座り、腕(左右どちらでもよい)にマンシェット(加圧用の帯)を、ほぼ心臓の高さの位置で巻き、肘関節の動脈の拍動の位置に聴診器をあてて測定します。

 なお、腕の左右の血圧差は一般に10mmHg以内で、これが20mmHgあると異常です。下の表に示したような病気が疑われるときは、両腕を測定します。

最も多い本態性高血圧

 血圧が高値のときは再検査し、何が高値の原因かを調べます。高血圧の多くは、高血圧そのものしかない本態性(ほかの病気に伴う血圧の上昇ではない)高血圧で、この場合は高血圧の程度により、生活指導や薬物療法が行われます。

 一方、低血圧ですが、これも本態性のものが最も多く、この場合は体質的なもので心配はいりません。

■血圧に左右差を認める病気
①動脈硬化による片側の血管の狭窄
②解離性大動脈瘤
③大動脈炎症候群
④大動脈縮窄(しゅくさく)症(腕の血圧>脚の血圧)
⑤胸郭出口症候群

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疑われるおもな病気の追加検査は

  • 高血圧

    胸部単純X線撮影、心電図、尿検査、血液検査、眼底検査など
  • 低血圧

    胸部単純X線撮影、心電図、尿検査、血液検査など
出典:四訂版 病院で受ける検査がわかる本 2014年7月更新版