下部消化管内視鏡検査執筆者:昭和大学病院医学部医学教育推進室教授 高木 康/昭和大学横浜市北部病院病院長 田口 進

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大腸がんの最終検査です。検査前日の朝昼晩の食事は消化のよいものにします。検査後は30~60分ほど安静にし、数時間は車の運転をしてはいけません。

下部消化管内視鏡を行う場合

①診断:生検

②治療:ポリープ・早期がんの切除、異物の除去、薬物局所注入(がん)

医師が使う呼び方:「シーエフ」=colon fiberscope(大腸内視鏡)の略CF から

大腸がんの確定診断に重要な検査

 大腸がんの最終検査です。内視鏡で直接、病変を肉眼的に観察し、がん細胞らしき病変があれば、その場で病変の一部を採取する生検(せいけん)を行い、その病変を細胞検査して、がんの確定診断にします。 近年、ファイバー先端のカメラの倍率を高くし(拡大内視鏡)、表面細胞の状態を細かく観察し、生検をしなくても良性・悪性の区別をするようになってきています。

 がんのほか、大腸の潰瘍・ポリープ・結核などの診断のため、さらに下血(便に血液が混じること)の部位および原因確認の目的で、緊急にこの検査を行うこともあります。

大腸がんは腸の内腔に突出した腫瘤としてみえる

 大腸がんの多くは、腸の内腔に突出した腫瘤(しゅりゅう)を認め、しばしば出血を伴います。また、進行すると内腔は狭くなります。

 大腸ポリープは、いぼ状にみえます。ポリープには表面の一部にがんのあることもあり、ポリープを発見したら、内視鏡で観察しながら切除します。

大腸の中をきれいにして検査

 検査前日の朝昼晩の食事は、うどん、粥(かゆ)など消化のよいものにします。当日の朝は絶食ですが、糖尿病薬以外の常用薬は飲んでかまいません。

 朝9時頃、大腸の中をきれいにする薬(ニフレック、2000ml)を、約1時間かけて飲みます。何回か下痢をし、最後は透明なやや黄色の水様便になります。便がまだ残っているようなら、さらに浣腸して腸の中をきれいにします。検査着に着替え、痛み止めの筋肉注射をし、検査台に左を下に横になります。

 まず、肛門を診察してから、肛門に麻酔薬入りのゼリーを塗りながら、直径約10mmのファイバースコープを挿入し、ときどき空気を入れながら直腸から下行結腸へと進めます。腸が曲がっているところを通るときは、一瞬ひきつれを感じることもあります。盲腸まで観察したら、ファイバースコープを抜きながら再び観察し、病変があれば生検します。

 検査には、訓練を積んだ技術を要しますが、10~30分で終了。検査後30~60分、安静にします。

車を運転して病院へ行かない

 緑内障、前立腺肥大症、心臓病の人は、検査の前に申し出てください。

 検査後、しっかりと排便してください。空気でおなかがはっていても、じきに治ります。食事はすぐできますが、車の運転は数時間は禁止です。

 高齢の人は、家族のつき添いがあったほうがよいでしょう。

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出典:四訂版 病院で受ける検査がわかる本 2014年7月更新版