腎血流シンチグラフィ検査執筆者:昭和大学病院医学部医学教育推進室教授 高木 康/昭和大学横浜市北部病院病院長 田口 進
シンチカメラで腎臓の変化を調べる検査で、腎核医学検査ともいわれています。術着は不要ですが、金属類は外します。検査後の注意は特にありません。
腎臓の働きをみる検査
腎(じん)臓は、尿素やクレアチニンなどの体の老廃物を濾過(ろか)して尿の中に排泄したり、体の中の水分や電解質(ナトリウム、カリウムなど)の調節、さらに血圧の調節をするホルモンの一部を分泌するなどの働きがあります。
腎血流シンチグラフィは、これらの腎臓の働きをみる検査で、放射性同位元素標識薬剤(ラジオアイソトープ)を体内に注入して、腎臓の変化を特殊な検出器(シンチカメラ)で検出し(撮像)、画像処理して判定するもので、腎核医学検査ともいわれています。
腎血流シンチグラフィには、動態シンチグラフィと静態シンチグラフィがあります。動態シンチグラフィは、腎臓の血液の流れや糸球体での濾過の能力など、腎臓の働きを評価する検査として行われ、レノグラムともいわれています。静態シンチグラフィは、腎臓にできた腫瘍をみるなど、おもに形態診断を目的として行われます。
慢性腎不全で尿排出は低下
腎不全とは、腎機能の主体である糸球体の濾過能力が低下した状態です。 動態シンチグラフィは、体に投与されたアイソトープが腎臓に集まり、尿に排泄される状態を検査するため、腎不全では腎臓の血流の低下、腎臓の萎縮と尿の排出量の低下を示します。
腎腫瘍では、腫瘍の部位のアイソトープの集まりが少なくなり、欠けてみえます。
腎血管性高血圧の診断にも行う
腎臓の糸球体は、腎臓の血液の流れを感知して調節しています。動脈硬化などで、腎臓の血管が狭くなって血流が少ないと、血管を収縮させて血圧を上げる物質(レニン、アンギオテンシン)が腎臓(糸球体)から分泌され、血圧が上昇します。これを腎血管性高血圧といい、この場合も動態シンチグラフィの検査を行います。
検査は40分くらいで終了
動態シンチグラフィは、腎通過尿量を確保して検査結果の評価が行えるように、検査20~30分前に約300~500mlの水を飲み、排尿してから核医学検査室で行います。γ(ガンマ)線を出すアイソトープを静脈注射し、直後からγ線を感知するγカメラを腰部に近づけ、30分連続して撮像し、画像解析します。腎臓は体の背部にあるため、後ろから撮像します。
静態シンチグラフィは、アイソトープを注射してから2時間後に撮像します。
心配ないアイソトープ
検査当日の飲食は普通にとってかまいません。術着に着替える必要はありませんが、金属類は画像処理に影響するので外します。
検査後の注意もありません。体内に入ったアイソトープは微量であり、速やかに尿中に排泄されるので、体内に貯留する心配はありません。
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疑われるおもな病気の追加検査は
腎腫瘍
尿細胞診、腹部超音波、腹部CT、排泄性腎盂膀胱造影など
慢性腎不全
腹部超音波など
- 出典:四訂版 病院で受ける検査がわかる本 2014年7月更新版