クレアチニン・クリアランス執筆者:昭和大学病院医学部医学教育推進室教授 高木 康/昭和大学横浜市北部病院病院長 田口 進

腎臓の異常をくわしく調べる検査です。腎機能の程度を正確に判断でき、低値になるほど腎機能の悪化を示しています。

クレアチニン・クリアランスの基準値
90~110ml/分
腎機能障害の程度を正確に知る検査
尿素窒素(ちっそ)もクレアチニンも、腎機能のスクリーニング検査(一次検査)として有用です。
しかし、これらが高値を示すようになるには、腎機能(糸球体濾過(ろか)率)が正常の50~75%以下になってからで、軽い腎機能障害の場合は発見することができません。そこで、正確な腎機能の状態を知るための検査が必要で、それがクレアチニン・クリアランスです。
クリアランスとは、腎臓の糸球体が血液中の老廃物などを濾過して尿中へ排出する機能のことです。
クレアチニン・クリアランスとは、老廃物のひとつクレアチニンを腎臓の糸球体が1分間に何ml濾過しているかを調べる検査で、糸球体の濾過率をよく反映しています。
検査では尿を完全に出し切るように
この検査には、短時間で行う方法と、1日の尿量を蓄尿して行う方法があり、普通は前者で検査します。
短時間法は、まず最初に尿を採取します。このとき、尿を完全に出し切ることが、検査の正確さを保つうえで大切です。
その30分後に、今度は血液を採取し、さらにその30分後にもう一度、尿を採取して終了です。
採取した血液からは血清クレアチニン濃度(P)を測定し、尿からは尿中のクレアチニン濃度(U)と1分間あたりの尿量(V)を測定して、〈Ccr(クレアチニン・クリアランス)=(U×V)÷P〉の式にあてはめて値を求めます。
検査当日の飲食は普通にとってかまいません。前日・当日の激しい運動は控えます。
腎機能が低下するに従い、低値に
クレアチニン・クリアランスの基準値は90~110ml/分ですが、腎機能が低下するに従って数値も低くなります。
障害の程度は50~70ml/分で軽度、30~50ml/分で中等度、30ml/分以下では高度の腎機能障害と判定され、尿毒症になる恐れがあります。
また、クレアチニン・クリアランスによって推測される糸球体濾過率は、加齢によって低下します。40歳代を100%とすると、10歳年をとるごとに10%程度低下していきます。
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腎機能障害
- 出典:四訂版 病院で受ける検査がわかる本 2014年7月更新版