前立腺特異抗原(PSA)と類似物質執筆者:昭和大学病院医学部医学教育推進室教授 高木 康/昭和大学横浜市北部病院病院長 田口 進

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医師が使う呼び方:「ピーエスエー」=prostate specific antigen(前立腺特異抗原)の略PSAから

前立腺特異抗原(PSA)と類似物質の基準値

基準値:4.0ng/ml

カットオフ値:

年齢カットオフ値
49歳以下2.5ng/ml
50歳代3.5ng/ml
60歳代4.5ng/ml
70歳代5.5ng/ml
*4.0~10.0ng/mlがグレイゾーン

〈基準値〉とは、スクリーニング(ふるい分け)検査によって異常を検出するための判定基準で、病気を診断するための基準ではない。一方、〈カットオフ値〉とは、異常の有無を判定するための検査の判定値。

加齢とともに上昇

 PSAは、前立腺の組織から分泌される糖蛋白です。PSAは前立腺の腺上皮で産生されて精漿中に分泌され、精漿液凝固物質の液化に関連しています。

 PSAの基準値は一応、4.0ng/mlと考えられていますが、加齢とともに上昇するため、年齢別設定が行われています。4.0~10.0ng/mlがグレイゾーンとされています。

3つの方法での鑑別

 PSAは、前立腺がんばかりでなく、前立腺肥大症でも血中濃度が上昇するので、3つの方法での鑑別が行われています。

 ひとつは経時的な観察で、1年間に0.75ng/ml以上の上昇では前立腺がんの確率が高くなります。

 もうひとつはPSA密度で、これはPSA値を前立腺の容積で割ったもので、高値であれば前立腺がんの疑いが高く、内視鏡下で病変を少し採取して調べる生検(せいけん)を行う必要があります。

 これらは多少煩雑なので、いちばん簡単な方法として検査されているのが遊離型と総PSAの比率です。

 前立腺がんでは、PSAと結合する蛋白も合成されるため、遊離型が減って遊離型/総PSA比は低値になりますが、前立腺肥大症では蛋白が合成されないため、遊離型/総PSA比は高値になります。

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出典:四訂版 病院で受ける検査がわかる本 2014年7月更新版