膀胱がん執筆者:昭和大学病院医学部医学教育推進室教授 高木 康/昭和大学横浜市北部病院病院長 田口 進

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 泌尿器系では最もよくみられるがんで、表在がんと浸潤(しんじゅん)がんに分けられます。

 表在がんであれば致命的にはなりませんが、再発を繰り返すのが特徴で、浸潤がんに進むこともあります。浸潤がんでは、他の部位へ転移している確率が高くなります。

おもな症状

 無症候性(とくに症状がない)の血尿が特徴です。60歳以上で血尿がある場合はとくに要注意。がんが進行すると排尿時の痛み、頻尿(ひんにょう)、尿閉、排尿困難などを伴うことがあります。

手順

①尿検査/尿の細胞診

②膀胱尿道造影

③膀胱鏡検査/生検(病理診断)

 検査項目はおもなものを示してあります。また手順は、症状やがんの状態などによっては順序がかわることがあります。

膀胱尿道造影と膀胱鏡検査が中心に

 膀胱(ぼうこう)がんの診断はまず尿検査を、次いで膀胱尿道造影を行います。尿検査では、血尿と尿中に出てくるがん細胞の検出(尿細胞診)が主になります。

 これらの検査でがんが疑われたら、膀胱鏡検査を行います。この検査は、長さ30㎝くらいの細い金属製の筒を尿道口から挿入して、膀胱と尿道の様子を観察します。腫瘍の有無、その性質などが診断でき、検査と同時に病変も採取(生検)して診断を確定します。

 また、膀胱がんでは双手診(そうしゅしん)と呼ばれる触診を行うこともあります。これは、直腸指診と同様に肛門(女性では腟)から指を入れ、さらに片方の手を腹部にあてて、膀胱をはさみこむようにして調べ、がんの大きさや硬さ、進展具合を診断します。

 その他、おもにがんの浸潤や転移の様子を調べるために超音波やCT、MRなど、また、尿路の変化をくわしく調べるために腎盂(じんう)造影を行うこともあります。

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出典:四訂版 病院で受ける検査がわかる本 2014年7月更新版