乳がん執筆者:昭和大学病院医学部医学教育推進室教授 高木 康/昭和大学横浜市北部病院病院長 田口 進

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 日本の乳がん患者数は近年増加しています。その要因として、動物性脂肪のとり過ぎ、出産率の低下、初産年齢の上昇など、生活様式の欧米化、女性の社会進出の一般化などが関連していると考えられています。

おもな症状

 90~95%の人が、乳房にしこり(腫瘤(しゅりゅう))が触れることで発見されています。その他、乳頭からの血液のような、あるいはさらっとした感じの液の分泌などがあります。

手順

①触診

②マンモグラフィ/超音波検査/MR /PET-CT

③穿刺吸引細胞診(病理診断)

④試験切除による生検(病理診断)

 検査項目はおもなものを示してあります。また手順は、症状やがんの状態などによっては順序がかわることがあります。

自分でしこりを発見

 症状のところでも述べたように、乳がんでは自己チェック法がかなり広く知られているため、自分で定期的に調べてみることが好発年齢(40~60歳)になった人では、早期発見のために最も大切だといえます。

 専門医による検査でも、まずは触診から始まります。多くの人がしこりを訴えて受診していますが、実際にがんである率は低いので、あまり怖がらずに受診してみることが大切です。鑑別する病気として乳腺症、乳腺炎、良性の腫瘍などがあります。

画像診断でおおむね診断できる

 しこりから乳がんが疑われる場合には、マンモグラフィや超音波でさらにくわしく調べることになります。マンモグラフィは乳房単純X線撮影で、乳房を上下左右、あるいは斜めにはさんで撮影し、腫瘍の影や石灰化像を写すことで診断します。

 ただし、若年の人では乳腺実質が豊富にあるため、マンモグラフィではうまく検出できません。そのため超音波が行われます。50歳以上の人では、マンモグラフィのほうがはっきりと検出することができます。とくに触診でしこりがはっきりしなくても、マンモグラフィではがんへの微細な石灰の沈着が写って診断できます。その他、MR、PET-CTを行うこともあります。

確定診断は細胞診で

 以上の検査の組み合わせで、乳がんの約80%は診断できます。

 それでもまだ確定できない場合には、穿刺(せんし)吸引細胞診(細い針を刺して細胞を採取し、病理検査する)を行います。とくに小さい腫瘤(しゅりゅう)では、細胞診は有効です。

 それでも確定できない場合には、試験切除(腫瘤部分を小さく切り取る)による生検を行います。

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出典:四訂版 病院で受ける検査がわかる本 2014年7月更新版