子宮がん執筆者:昭和大学病院医学部医学教育推進室教授 高木 康/昭和大学横浜市北部病院病院長 田口 進

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 子宮がんは、子宮の入口付近のくびれた部分にできる子宮頸(けい)がんと、子宮の本体部分にできる子宮体(たい)がんに分けられます。

 発生率としては2対1くらいで頸がんのほうが多いのですが、近年、体がんの占める割合が増えつつあります。

おもな症状

 頸がん、体がんとも初期は無症状のことが多く、進行に伴い、不正性器出血、ピンクや茶褐色のおりものなどがみられます。頸がんでは、性交時の接触出血があることもあります。体がんでは、ほとんどの例で不正性器出血がみられています。

手順

〔子宮頸がん〕

①子宮頸部細胞診(擦過細胞診)

②腟鏡診(クスコ診)/腟拡大鏡診(コルポスコープ診)/腫瘍マーカー

③超音波/CT/MR /PET-CT

  

〔子宮体がん〕

①子宮内膜細胞診

②子宮内膜組織診/腫瘍マーカー

③超音波/子宮鏡検査

④CT/MR /PET-CT

 検査項目はおもなものを示してあります。また手順は、症状やがんの状態などによっては順序がかわることがあります。

子宮頸がんは内診と細胞診でだいたいわかる

 子宮頸がんは、検診が普及した影響もあり、集団検診などで早期で発見される率が高まっています。一般に30歳以上が検診の対象になっていますが、20歳代でも必要性があるといわれています。

 最初は、検診でも実施されている子宮頸部細胞診(擦過(さっか)細胞診)を行います。綿棒やブラシを用いて子宮頸部をこすり、細胞を採取して病理検査を行います。

 細胞診でがんが疑われたら、腟鏡診(ちつきょうしん)(クスコ診)や腟拡大鏡診(コルポスコープ診)を行ってさらに精密に調べ、異常があればその部分の組織を採取して病理検査をします。

 腫瘍マーカーは、頸がんにはSCCなどが使われています。その他、必要に応じて腹部超音波や腹部CT、MRなどを行います。

子宮体がんは組織診と画像診断が有効

 子宮体がんでは、細いチューブやブラシを子宮の奥のほうに入れて子宮内膜細胞を採取し、病理検査を行います(子宮内膜細胞診)。細胞診でがんが疑われたら、少し大きめに組織を採取して調べます(子宮内膜組織診)。

 腫瘍マーカーは、体がんの場合はCEA、CA125などが使われています。その他、がんの広がりや進展の具合を調べるには、経腟超音波(腟口から小さなプローブを挿入して行う)やMR、CTが有効です。内視鏡の一種である子宮鏡を用いることもあります。

 体がんでも出血がみられないこともあるので、無症状でも45歳を過ぎたら検診を受けることがすすめられます。

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出典:四訂版 病院で受ける検査がわかる本 2014年7月更新版