甲状腺がん執筆者:昭和大学病院医学部医学教育推進室教授 高木 康/昭和大学横浜市北部病院病院長 田口 進

つぶやく いいね! はてなブックマーク

 日本での発生率はそれほど高くなく、全般的に悪性度も低いがんです。女性に圧倒的に多く発症します。病理学的にいくつかの種類に分かれますが、それぞれで性質はかなり異なります。

おもな症状

 多くは、前頸(けい)部の腫瘤(しゅりゅう)として気づきます。頸部リンパ節への転移が初発症状となることもあります。腫瘍が浸潤(しんじゅん)して反回(はんかい)神経まひをおこすと、かすれ声(嗄声(させい))になります。気管や食道まで進展した場合は、呼吸困難や吐血をおこすこともあります。

手順

①触診/血液検査(ホルモン関係)

②甲状腺超音波/CT/MR/PET-CT

③穿刺吸引細胞診(病理診断)

 検査項目はおもなものを示してあります。また手順は、症状やがんの状態などによっては順序がかわることがあります。

触診、血液検査でスクリーニング

 甲状腺がんは、まず触診が重要になります。大きさ、形、硬さなどから、ある程度の見当はつきます。

 血液検査では、各種の甲状腺ホルモン値(トリヨードサイロニン、サイロキシン、TSH、サイログロブリンなど)がスクリーニング(ふるい分け)として測定されます。サイログロブリンは乳頭腺がんや瀘胞(ろほう)腺がんで上昇します。

確定診断は細胞診で

 精密検査として行われる甲状腺超音波では、腫瘤内の構造がはっきりとわかります。その他、X線軟線撮影では、乳頭腺がんで特徴的な砂粒状の石灰化が、瀘胞腺がん、髄(ずい)様がんで粗大型石灰沈着が認められます。また、周囲の臓器との関係やがんの浸潤、リンパ節転移をみるためにはCTやMR、PET-CTが行われます。

 確定診断は、穿刺(せんし)吸引細胞診(細い針を刺して細胞を採取し、病理検査する)によって行います。

おすすめの記事

出典:四訂版 病院で受ける検査がわかる本 2014年7月更新版