手指関節靭帯損傷
しゅしかんせつじんたいそんしょう
- 整形外科
- 診療に適した科
手指関節靭帯損傷とは?
どんな外傷か
手指の関節の両側には、関節の側方への動揺性を制御している(横方向へ曲がらないようにしている)側副靭帯という組織があります。側副靭帯は、スポーツ外傷、転倒などによって側方への強い外力が加わった時に損傷します。手指PIP関節側副靭帯損傷と、母指MP関節尺側側副靭帯損傷がよく発生します。
症状の現れ方
受傷直後から手指に疼痛、はれが生じます。手指を動かすと痛いので、十分に曲げたり伸ばしたりすることができなくなります。
検査と診断
強い圧痛(押すと痛むこと)が関節の片側(損傷側)だけに限局してあり、損傷側と反対側へ曲げる力をかけると疼痛が強くなります。靭帯が完全断裂している場合には、側方への不安定性(靭帯が断裂している側と反対側への動きが大きくなる)が認められます。
X線写真では、靭帯が骨に付着していた部分がはがれた剥離骨片が写ることがありますが、多くの場合は正常です。関節に対して側方に力をかけた状態で、ストレスX線検査を行い、骨と骨の間の開き具合を左右で比較し、関節の不安定性を調べます。明らかな左右差があれば、完全断裂と診断できます。
治療の方法
不安定性が強くない場合は、2~4週間外固定を行い、その後、徐々に動かす練習を始めます。X線検査で異常がない場合でも、一定期間の外固定は必要です。不安定性が強い場合は、手術が必要となります。
とくに、母指MP関節尺側側副靭帯損傷では、靭帯の断端が反転して、母指内転筋腱膜の下にはさまるステナー障害と呼ばれる治癒不能の状態があるので、手術が必要です(図34)。受傷後早期の場合は、靭帯縫合術を行います。完全断裂で3週間以上放置した場合は、断端同士を縫合することが困難で、再建術が必要になる場合があります。
外傷を負ったら
関節を動かないように固定すると、疼痛が緩和されます。早期に整形外科を受診することをすすめます。
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