出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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上部尿路結石の診断と治療
じょうぶにょうろけっせきのしんだんとちりょう

上部尿路結石の診断と治療と関連する症状・病気

(執筆者:順天堂大学医学部附属練馬病院泌尿器科先任准教授・科長 坂本 善郎)

尿路結石症に関連する可能性がある薬

医療用医薬品の添付文書の記載をもとに、尿路結石症に関連する可能性がある薬を紹介しています。

処方は医師によって決定されます。服薬は決して自己判断では行わず、必ず、医師、薬剤師に相談してください。

・掲載している情報は薬剤師が監修して作成したものですが、内容を完全に保証するものではありません。

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コラム体外衝撃波砕石術(ESWL)

順天堂大学医学部附属練馬病院泌尿器科先任准教授・科長 坂本善郎

 ESWLは、上部尿路結石治療の中心を占めています。近年では第3世代の砕石装置が登場し、機器も進歩しています。衝撃波発生装置は水中放電方式、電圧方式、電磁波変換方式に大別されます。衝撃波の伝播方式には、患者さんの体を水槽内に入れる湿式と、水槽を使用しない乾式があります。

 結石に照準を合わせる方法には、X線透視または超音波を用います。X線透視照準法は、X線非透過性結石(通常のカルシウム含有結石)に対しては結石に照準を簡単に合わせられますが、尿酸結石、シスチン結石などのX線透過結石や腸管ガスが多い場合には照準が合わせられません。超音波照準法はX線被曝がない点はよいのですが、尿管結石の場合に照準が合わせにくい欠点があります。

 麻酔は、初期には全身麻酔を行っていましたが、硬膜外麻酔や局所麻酔、鎮痛薬(ペンタゾシンなど)を用いても治療できるようになり、入院日数も短縮できるようになりました。一般には、経過観察を含めて数日の入院をしますが、1泊または日帰り手術も可能になりました。

 治療するうえでの問題点として、破砕された結石の小片が尿管内に詰まるストーン・ストリートや、血尿、腎周囲・腎被膜下血腫などがあります。このため、抗凝固薬投与時など出血しやすい状態でのESWLは好ましくありません。

 また、結石の近くに動脈瘤(腹部大動脈瘤、腎動脈瘤)がある場合は、症例によっては施行できないこともあります。骨盤腎(腎臓の位置異常で、骨盤内にあるもの)や小児ではあまり推奨されていません。

コラム内視鏡的操作による尿路結石除去術

順天堂大学医学部附属練馬病院泌尿器科先任准教授・科長 坂本善郎

 経皮的腎瘻造設後に経皮的に内視鏡(腎盂鏡)を挿入して腎盂内の結石を観察しながら破砕する経皮的腎砕石術(PNL)と、尿道・尿管に内視鏡(尿管鏡)を挿入して尿管結石を破砕する経尿道的尿管砕石術(TUL)があります。

 体外衝撃波砕石術(ESWL)に先駆けてPNLが施行されていましたが、ESWLの普及によってPNLは限定された治療法になりました。しかし、ESWLも限界があるため、大きな結石に関しては依然としてPNLは有用です。

 中部尿管以下の結石で一般によく行われるTULは、腰椎麻酔または硬膜外麻酔下に砕石位(両足を開いて軽く上にあげた体位)で行います。

 膀胱鏡を挿入し、尿管口から尿管・腎盂までガイドワイヤーを挿入し、膀胱鏡を抜いてから、尿道から尿管鏡をガイドワイヤーに沿って尿管内に挿入します。熟練していればガイドワイヤーは必ずしも必須ではありませんが、目安になるので安全な方法です。

 尿管口が狭い場合には、尿管バルーンダイレーターで拡張してから尿管鏡を尿管内に挿入します。

 尿管鏡は通常、硬性尿管鏡を使用しますが、結石が衝撃などで腎盂内にもどってしまった場合には、軟性尿管鏡を使用して砕石するか、尿管ステントを留置してESWLに切り替える必要があります。

 内視鏡下およびX線透視下で、尿管鏡を進めて結石まで到達させます。次に、結石を観察しながら砕石装置で砕石します。砕石装置は大きく分けて、超音波、レーザー、圧搾空気電気衝撃(小型のドリルのようなもの)、電気水圧衝撃の4種類があります。排石可能な大きさになるまで砕石して、尿管ステントを留置して手術は終了です。

 PNLは、硬膜外麻酔または全身麻酔下に腹臥位(腹ばい)で行います。まず、超音波ガイド下およびX線透視下で腎杯を穿刺し、腎瘻を造設します。サンゴ状結石や大きな腎結石の場合には腎瘻を造設するスペースがあまりなく、困難な場合もあります。腎瘻が造設されたあとは、腎盂鏡が挿入できるまで腎瘻を拡張して腎盂鏡を挿入します。

 TULと同様に、内視鏡観察下に砕石装置で破砕します。大きな結石の場合には、結石を直接体外につまみ出すこともあります。砕石後は腎瘻を留置して手術は終了です。

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