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副甲状腺機能亢進症
ふくこうじょうせんきのうこうしんしょう

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副甲状腺機能亢進症とは?

どんな病気か

 原発性副甲状腺機能亢進症とは、副甲状腺が腫大して副甲状腺ホルモン(PTH)が過剰に分泌されることにより、高カルシウム血症、低リン血症、骨粗鬆症尿路結石、腎障害などを来す病気です。

 PTHは、血液中のカルシウム(正常値8・6~10・4mg/dL)を調節する最も大切なホルモンで、ほかの原因で低カルシウム血症になった場合には、それを是正しようとするためにPTHの分泌が高まります。この場合は二次性副甲状腺機能亢進症として、副甲状腺の病気である原発性とは区別しています。

 この項では原発性副甲状腺機能亢進症について解説します。

原因は何か

 原発性副甲状腺機能亢進症の原因には、副甲状腺の腺腫、過形成、がんがあります。

 このうち8割以上は良性の腺腫で、この場合は4つある副甲状腺のうちひとつが腫大します。

 過形成は4つの副甲状腺のすべてが異常になるもので、多発性内分泌腺腫症(MEN)という遺伝的な病気に合併して起こることがほとんどです。

 がんの場合には副甲状腺が大きく腫大し、高カルシウム血症も高度であることが多く、予後は不良です。

症状の現れ方

 多くの場合、あまりはっきりした症状はみられません。高カルシウム血症の症状としては、倦怠感、食欲不振、吐き気、多尿、口の渇きなどがみられますが、とくにカルシウム濃度の上昇が軽度(11~12mg/dL以下)の時にはほとんど無症状で経過します。手術をして治ってから初めて、病気による症状があったことに気づくこともあります。

 最近は、健康診断などで血中カルシウム濃度を測定する機会が増えたため、偶然、高カルシウム血症を発見されて診断に至る例が増えています。

 しかしながらまれに、急速に病気が進行して高度のカルシウム血症(15mg/dL以上)を来すと、意識障害などを伴った生命に関わる状態(高カルシウムクリーゼ)になり、緊急を要することもあります。

 症状に乏しい場合でも、副甲状腺機能亢進症が長い間続くと、PTHが骨の吸収を促進するために骨粗鬆症になったり、腎臓へのカルシウムの負荷が高まるために尿路結石や腎障害を生じることがあります。また、この病気には胃潰瘍膵炎高血圧などの合併もみられます。

検査と診断

 高カルシウム血症と血中PTH濃度の高値が証明されれば診断されます。そのほか、血液検査では低リン血症、活性型ビタミンD濃度の高値などがみられます。次に、腫大した副甲状腺を頸部超音波検査、CT、シンチグラフィなどの画像検査により確認します。腫大が軽度の場合には見つからないこともあります。

 そのほか、後で述べるように手術の適否を決めるためには、骨量検査、腎臓(腹部)の超音波検査、X線検査、腎機能検査、尿中カルシウム排泄の測定などによる合併症の評価が必要になります。

治療の方法

 治療の原則は、腫大した副甲状腺を摘除する手術です。腺腫の場合には、通常ひとつの腺だけの異常なのでこれを摘出します。見かけ上、ほかの3腺が正常でも、過形成であることもあるので、同じ側のもう1腺も組織を調べるために摘除します。最近では、以前に比べてより体への負担が少なく、傷跡が目立たない新しい手術方法が行われるようになりつつあります。

 過形成の場合には、4腺全部を摘出する必要があります。そのままでは低下症になってしまうので、通常、1腺の半分だけを上腕に自家移植します。こうしておくと万が一機能亢進症が再発しても簡単に摘除することができます。

 高カルシウム血症が軽度な場合には、かなり長い間無症状で経過することが多いため、腎障害、骨粗鬆症などの程度や患者さんの年齢によって、手術の適否を決定するガイドラインが決められています(表3表3 原発性副甲状腺機能亢進症の手術適応)。

表3 原発性副甲状腺機能亢進症の手術適応

病気に気づいたらどうする

 高カルシウム血症を指摘されたら、内分泌の専門医の診察を受けることをすすめます。

(執筆者:帝京大学ちば総合医療センター第三内科准教授 井上 大輔)

副甲状腺機能亢進症に関連する可能性がある薬

医療用医薬品の添付文書の記載をもとに、副甲状腺機能亢進症に関連する可能性がある薬を紹介しています。

処方は医師によって決定されます。服薬は決して自己判断では行わず、必ず、医師、薬剤師に相談してください。

・掲載している情報は薬剤師が監修して作成したものですが、内容を完全に保証するものではありません。

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副甲状腺の役割

 副甲状腺は頸部の甲状腺背面に位置する内分泌臓器で、上下左右に4つの腺があります(図2図2 副甲状腺の位置)。副甲状腺からは副甲状腺ホルモン(PTH)が分泌されます。PTHは、活性型ビタミンDとともに体内のカルシウム代謝に中心的な役割を果たしています。

図2 副甲状腺の位置

 PTHが作用する主な臓器は骨と腎臓で、骨吸収および腎臓からのカルシウム再吸収を促進します。また、活性型ビタミンDの腎臓での産生を高めます。その結果、増えた活性型ビタミンDは腸管からのカルシウム吸収を高めるので、PTHは、活性型ビタミンDと協調して血中カルシウム濃度を上昇させます。

PTH分泌の調節機構とその異常

 PTHの産生・分泌を調節する主要な因子はカルシウム自身です。血中のカルシウム濃度が高まるとPTHの分泌は抑えられ、歯止めがかかります。逆に低カルシウム血症になるとPTH分泌は高まり、カルシウム濃度を上昇させます。このような仕組みを、フィードバックと呼びます。

 副甲状腺が正常な場合は必ずこの機構メカニズムがはたらくため、カルシウム濃度が正常範囲に保たれています。しかし副甲状腺の腺腫や過形成による副甲状腺機能亢進症では、このフィードバック機構が損われるために、カルシウム濃度が上昇してもPTH分泌が抑えられず、高カルシウム血症が維持されます。

副甲状腺の画像診断

 正常な副甲状腺は径が数mm以下の小さな臓器であるため、通常、超音波やCTなどでは見えませんが、原発性副甲状腺機能亢進症の腺腫は80%以上が検出されます。腫大(はれて大きくなる)した副甲状腺腫を検出するには、超音波検査が最も安全で有効です。

 しかし、4つの副甲状腺のうち下の2腺が腫大した場合には、さらに下のほうに落ち込んで胸郭内に潜ってしまい、超音波などで見つからなくなることがあります。とくにこのような場合には、シンチグラフィが威力を発揮します。シンチグラフィは、副甲状腺に集まる放射性の薬剤を注射したのち、その放射線を写真にとることにより副甲状腺を映し出す検査です。

 このように、原発性副甲状腺機能亢進症で腫大した副甲状腺を見つけるには、複数の検査を組み合わせることがしばしば必要になります。

コラム血液中のカルシウム

帝京大学ちば総合医療センター第三内科准教授 井上大輔

 血液中のカルシウム濃度は、8・6~10・4mg/dLという比較的狭い範囲に維持されています。しかし、通常測定しているのは総カルシウム濃度であり、このうち約半分は主にアルブミンなどの血液中の蛋白に結合していて、残りの半分が遊離カルシウムイオンとして存在します。体内での作用に重要な役割をもっているのは、後者の遊離カルシウムです。

 血液中のアルブミン濃度が低下している場合(4未満)、遊離カルシウムが正常でも結合型が少なくなるため、見かけ上、総カルシウム濃度としては低くなります。このような見かけ上の低カルシウム血症では遊離カルシウム濃度は正常であるため、まったく問題ありません。したがって、血液中のカルシウム濃度を評価する場合、必ずアルブミンを測定し、低下している場合にはその分カルシウム濃度を補正する必要があります。一般の臨床では、次のような補正式が用いられています。

補正カルシウム濃度(mg/dL)=実測カルシウム濃度(mg/dL)+(4-アルブミン(g/dL))

 総カルシウム濃度の測定結果が低値でも、同時に低アルブミン血症がある場合、右の補正式で補正した値が正常であれば、カルシウム代謝の異常ではありません。

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