出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
血管新生緑内障
けっかんしんせいりょくないしょう
血管新生緑内障とは?
どんな病気か
眼球内の毛様体で産生される房水は、後房、硝子体腔から瞳孔をへて前房に達し、虹彩の根元にある隅角線維柱帯から眼の外へ排出され、これにより房水循環が維持され、眼圧が正常に保たれています。線維柱帯はこの房水循環のなかで排水路のフィルターの役割を果たしています。
糖尿病網膜症が進行している眼では、虹彩や線維柱帯に新生血管が生じてくることがあります(図7)。この新生血管はフィルターである線維柱帯を目詰まりさせてしまい、房水排水路が損なわれて眼のなかに房水がたまった状態になり、眼圧が上昇します。眼圧が上昇するとその圧力で視神経を圧迫し、圧迫を受けた部分に相当する視野に障害を来すことになります。この状態が血管新生緑内障です。
診断と治療
細隙灯顕微鏡による隅角検査(房水排水路の隅角の状態をみる)、眼圧検査などで診断され、症状は充血、眼痛、視力の低下などです。血管新生の直接の原因は網膜血管の閉塞が進行した糖尿病網膜症です。したがって基本的な治療法は徹底的な網膜レーザー光凝固です。
通常のレーザー治療で十分な凝固ができなければ、水晶体切除および硝子体切除のうえ、眼底最周辺部までの眼内レーザー凝固を行う必要があります。それでも眼圧が下がらない場合は緑内障手術が必要で、最終的には毛様体を破壊する目的で毛様体の冷凍凝固を行います。
しかしこれらの治療にも反応せずに、失明に至るケースがしばしばあります。直接の原因である糖尿病網膜症の早期治療、血糖コントロールによる予防が、失明を未然に防ぐ意味でとくに重要です。
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