紅皮症
こうひしょう
紅皮症とは?
どんな病気か
全身の皮膚が潮紅し、落屑(鱗屑がぼろぼろとはげ落ちる)を伴う皮膚病で、剥脱性皮膚炎ともいいます。
原因は何か
紅皮症は、それぞれ原因の異なる皮膚病に続いて発症します。最も頻度が高いのはアトピー性皮膚炎や高齢者の乾皮症性湿疹に続いて発症するタイプです。
このほか、天疱瘡、乾癬、扁平苔癬、毛孔性紅色粃糠疹などの各種皮膚病が全身に広がって紅皮症になるタイプ、薬疹などの中毒性紅皮症、薬剤性過敏症症候群、菌状息肉症やセザリー症候群などの皮膚の悪性リンパ腫による紅皮症があります。
症状の現れ方
全身または広範囲の皮膚にびまん性の紅斑がみられ、落屑を伴います(図10)。通常、かゆみがあります。全身症状として発熱、悪寒や震えなどの体温調節障害、リンパ節のはれ、全身の倦怠感、体重減少などを伴います。
検査と診断
どの病気がもとにあって紅皮症を発症したのかを調べる必要があります。皮膚の生検(病気の皮膚を数mm切り取って調べる病理組織検査)は、もとの病気が何かを知るうえで有用です。
紅皮症に共通する血液検査所見として白血球数、好酸球数、LDH(乳酸脱水素酵素)がいずれも増加します。また、紅皮症では有棘細胞がんの腫瘍マーカーであるSCCが血液中に増加しますが、がんの心配はありません。
治療の方法
湿疹・皮膚炎に続発する紅皮症には、副腎皮質ステロイド薬の外用と抗ヒスタミン薬の内服が有効です。乾癬に続発する紅皮症にはエトレチナート(チガソン)の内服、PUVAもしくはナローバンドUVB療法(紫外線照射)、高濃度ビタミンD3含有軟膏(ボンアルファハイ軟膏など)の外用が行われます。
薬疹による紅皮症では原因薬剤を中止し、副腎皮質ステロイド薬の外用、時に内服が行われます。
内臓障害を併発して死亡することのある薬剤性過敏症症候群では入院治療が必要で、副腎皮質ステロイド薬の内服や全身管理が行われます。
菌状息肉症などの皮膚悪性リンパ腫による紅皮症では、ナローバンドUVBなどの紫外線療法や電子線照射が行われます。
病気に気づいたらどうする
皮膚科専門医を受診して、もとの病気を調べ、それに合った治療を受ける必要があります。
紅皮症に関連する可能性がある薬
医療用医薬品の添付文書の記載をもとに、紅皮症に関連する可能性がある薬を紹介しています。
処方は医師によって決定されます。服薬は決して自己判断では行わず、必ず、医師、薬剤師に相談してください。
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ベトネベート軟膏0.12%
鎮痛,鎮痒,収斂,消炎剤
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ネリゾナユニバーサルクリーム0.1%
鎮痛,鎮痒,収斂,消炎剤
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アルメタ軟膏
鎮痛,鎮痒,収斂,消炎剤
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水溶性プレドニン10mg
副腎ホルモン剤
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デルモベートクリーム0.05%
鎮痛,鎮痒,収斂,消炎剤
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ソル・コーテフ注射用100mg[注射剤]
副腎ホルモン剤
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メドロール錠2mg
副腎ホルモン剤
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コートリル錠10mg
副腎ホルモン剤
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プレドニゾロン錠1mg(旭化成)
副腎ホルモン剤
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ビスダーム軟膏0.1%
鎮痛,鎮痒,収斂,消炎剤
・掲載している情報は薬剤師が監修して作成したものですが、内容を完全に保証するものではありません。
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