出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
色素性乾皮症
しきそせいかんぴしょう
色素性乾皮症とは?
どんな病気か
紫外線により皮膚の障害を引き起こす遺伝性の疾患です。
原因は何か
日光に含まれる紫外線(UV)は、細胞の遺伝子に傷(ピリミジンダイマーなど)を生じさせます。生体には紫外線によりDNA(デオキシリボ核酸)に生じたピリミジンダイマーを除去・修復する機構があり、細胞の遺伝子の変異を防いでいます。その機構に起こる障害の程度によって、さまざまな程度の障害があるA~G型の7つと、除去・修復能が正常なバリアント(V型)を加えて、8つの型に分類されます。
報告例の大半は遺伝性で、血族結婚によるものです。日本では、重症のA型、皮膚がんの発生しやすいV型が多くみられます。
症状の現れ方
皮膚症状、眼の羞明感(まぶしがること)、神経症状、発育障害などがみられます。皮膚は、出生時は正常です。生後6カ月~3歳ころに、日光曝露後、露出部に異常に強い紅斑、水疱が発生します。雀卵斑様小色素斑、乾燥粗造化、色素の沈着と脱失を生じ、露出部の皮膚は、いわゆる汚らしい外観を示します。高率に皮膚の悪性腫瘍を生じます。
検査と診断
軽症例では、雀卵斑(そばかす)との区別が必要になります。UV照射後の、不定期DNA合成能の低下がA~G型でみられます。V型が臨床症状から疑わしい場合は、不定期DNA合成能は正常ですが、さらにくわしい検査をします。
治療の方法
遮光を完全にします。長波長紫外線は皮膚に障害を与えるので、ガラス越しの光を避けることが大切です。皮膚の悪性腫瘍の早期治療も重要です。A型は、多くは20歳までに死亡するとされています。
病気に気づいたらどうする
皮膚科を受診します。
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