電撃傷
でんげきしょう
電撃傷とは?
どんな外傷か
生体に電気が通って何らかの反応を示す現象は、一般的に感電と呼ばれていますが、このような電気的傷害は電撃傷と呼ばれ、特殊なものに落雷による雷撃傷があります。通常の熱傷との違いは、傷害の大部分がジュール熱(人体に電流が流れた場合に人体抵抗により発生する熱)により生体内部から発生する熱によって起こることで、その取り扱いには特殊な点が多くなります。
感電が明らかならば、皮膚の傷害が軽度であっても重症と判断します。皮膚表面の傷害が小さくても、筋肉などの皮下組織が広範に傷害を受けている場合も多く認められます。
死亡原因の多くは、心室細動という致死的な不整脈が起こることによります。
一般的法則
・電圧が低くても、電流が流れれば直流でも危険
・直流より交流のほうが危険
・交流では、周波数が低いほうが危険(心室細動は40~100Hz(ヘルツ)の周波数で最も起こりやすく、一般家庭電源の50~60Hzは最も危険)
・乾燥した皮膚より湿った皮膚、濡れた皮膚のほうが危険
・手から下肢への通電経路で最も不整脈の発生頻度が高い
・男性より女性のほうが感受性が高い(3分の2の弱い電流で感電)
応急処置はどうするか
電撃傷での傷害は通常の熱傷とは違い、ジュール熱により予想以上に深部にまで及んでいる場合や、受傷直後は何ともなくても、数日してから傷害が明らかになることもあります。感電後に意識を失った場合、心肺機能の停止状態と考えられる場合などは心室細動の可能性があるので、すぐに救急車を要請する必要があります。
皮膚の電流斑(電流の出入口の皮膚に見られる黒褐色の潰瘍)、電紋(体表面の放電の火花によりI度熱傷が起こり、皮膚の表面に樹枝状の発赤がみられる)の部位を観察し、さらに通称"ふかれ"といわれる電気火花やアーク(体表面近くで起こる一種の放電状態)による熱傷や、アークから衣服が燃えて受傷する熱傷の有無とその面積も観察することが重要です。
胸痛、血尿、筋肉痛、背骨の痛み、全身の倦怠感、頭痛などが認められる場合も、病院へ行って診察を受けたほうがよいでしょう。
現場での注意
電撃傷が疑われる場合には、続発事故を防ぐために、必ず負傷者ならびにその周辺が荷電状態でないことを確認する必要があります。感電時の状況、発生時間、原因となった電気の電圧、接触時間などの情報を得ることも、非常に重要です。
また、高電圧接触により飛ばされたり、高所よりの墜落により合併外傷が認められる場合もあるため、注意が必要です。
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コラム低温熱傷
低温熱損傷、いわゆる低温熱傷とは、短時間の接触では問題とならない温度で、長時間接触することによって起こる皮膚の傷害のことです。熱いというよりはむしろ温かい程度の熱を長時間受け、皮膚の深部にまで熱の影響を受けた状態です(図60)。
使い捨てカイロ、電気アンカ、湯たんぽ、電気カーペット、電気毛布などが、一定時間皮膚に直接接触していることが原因になります。とくに高齢者、乳幼児、体の不自由な人には、十分な注意が必要です。
低温熱傷は長時間をかけて傷を受けたものなので、あわてて流水などで冷却をしても効果はありません。さらに、低温熱傷の多くは真皮深層から皮下組織に達するような傷害ですから、受傷した部位を中心に清潔なガーゼなどでおおい、すみやかに医療機関を受診する必要があります。
III度熱傷に相当する傷害で、傷面の閉鎖までに時間がかかるため、瘢痕を形成することが多く、時に植皮術が必要になります。
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