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[患者さんの相談事例] 2011/02/10[木]

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 現代の医療現場では、自分なりの判断や意思決定が求められます。患者側にだって、治療パートナー(医療者)と上手に対話して、疑問解消・意思伝達できるコミュニケーションスキルがあった方が良いですね。
 ここで紹介する「相談事例」は、患者側視点に基づくもので、実際にはもっと他の背景があったかもしれませんが、「私ならどうするか」を考えてみませんか?

患者さんから実際にあった電話相談

言われるがままに差額ベッド料の同意書にサインしてしまいました。(45歳・女性)

 10年前に母が亡くなって以来、父(74歳)は一人で暮らしてきました。私は結婚して離れて暮らしているので、時折電話をかけるぐらいで、父のもとを訪ねるのは年に1~2回でした。近くに妹が暮らしていたのですが、3ヵ月前に夫の転勤で引越してしまい、私より遠くなってしまいました。
 3日前、突然、ある病院から電話があり、父が3週間前から入院しているというのです。驚いて、ともかく病院に駆けつけました。
 病院で聞かされた話によると、父が自宅で倒れているのを近所の人が見つけ、救急車を呼んでくださったそうです。検査の結果、脳梗塞と診断されたのですが、運ばれた当初から意識はなかったそうです。そのため、家族の連絡先を突き止めるのに3週間を要したとのことでした。もともと内臓が悪かった父は肺炎を起こしていて、私が病院に行ったときには、「とても危ない状態」と言われました。
 父の状態についてドクターから説明が終わると、つぎに病棟の主任ナースが病室にやってきました。「お父さんは入院されてから3日間は観察室に入っていただいたのですが、4日目からは1日12,000円の個室に移動していただきました。その病室には2日間入室されて、入院6日目以降はこの2人部屋に入られています。この2人部屋は1日6,000円になっています。ともかく、いつどうなるかわからない状態で、少しでもナースステーションに近い病室での観察が必要なので」と言われ、さかのぼって差額ベッド料の同意書にサインするよう求められました。そのときは言われるままにサインしたのですが、何だか釈然としない気持ちが残っています。言われるままに支払うしかないのでしょうか。

より良いコミュニケーションを目指そう!患者さんこうしてみては・・・?
 突然病院から電話があり、3週間も前に父親が入院していたと聞かされれば、さぞかし驚かれたことでしょう。しかも、意識がない危険な状態となれば、ショックだったことと思います。そこへ差額ベッド料のことを聞かされ、同意書を求められれば、何となくすぐにサインして提出しなければならないような気持ちになってしまいがちだと思います。
 ただ、差額ベッド料の必要な病室に入られている理由が、「いつどうなるかわからない状態で観察が必要」ということならば、“治療上の必要”に該当すると思います。治療上の必要の場合、医療機関は差額ベッド料を請求してはいけないことになっていて、もし同意書を提出していても、その同意書は無効になります。治療上の必要なら請求されないことは厚生労働省の通知に明記されています(http://www.mhlw.go.jp/topics/2008/03/dl/tp0305-1ay_0001.pdfの3~5ページ)。差額ベッド料に関する厚生労働省の通知内容は、同意書を求めるナースも詳しく知らない場合があります。冷静に交渉なさってみてはどうでしょうか。
より良いコミュニケーションを目指そう!医療機関さんこうしてみては・・・?
 差額ベッド料の請求については、厚生労働省が一定の基準を通知しています。しかし、直接、患者・家族に説明するナースや事務職員が詳しく理解していない場合もあり、トラブルが発生しがちです。COMLにも数多くの差額ベッド料の相談が寄せられています。
 まず、差額ベッド料を請求してはいけないとされているのは、以下の場合です。

  1. 同意書の提出がない。
  2. 救急・術後、免疫力の低下、心身共に著しい苦痛を伴う終末期など治療上の必要

 治療上の必要の場合は、同意書の提出があっても、それは無効になります。ただ、以下の場合は「強制的に入室させたのでなければ請求可能」とされています。“強制的ではない”=同意書の提出がある、ということです。

  1. 空きベッドがほかにない。
  2. 患者自身が感染症で他の患者に移す可能性がある。
  3. 認知症やいびきなど、他の患者の療養に支障をきたす。

 ぜひ、スタッフの皆さんで共有していただきたいと思います。また、本来同意書というのは、入室する前に提出するものです。さかのぼって請求する場合は、十分な説明と、患者側の理解・納得が不可欠だと思います。

※写真はイメージです

この実例紹介とアドバイスのご提供は・・・


NPO法人
ささえあい医療人権センターCOML

理事長 山口育子

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