[感染症] 2021/02/19[金]

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この記事のポイント
・新型コロナに感染した人の血液で、発症から3~6か月後も抗体を検出
・抗体の量は発症して約20日後にピークに達し、その後は減少
・抗体応答が弱い人もいるので、再感染しないための感染予防対策は重要

再感染するのを防ぐために重要な働きをする「抗体」

 新型コロナウイルスに関連する一連の報道で、「抗体」という単語を耳にする機会が増えた人は多いのではないでしょうか。

 抗体とは、感染後に体内でそのウイルスに対してつくられる特殊な免疫タンパク質のことで、それがあると、再感染するのを防いだり、かかっても症状が軽くなったりすると考えられています。新型コロナウイルスに感染した人の体内でも、新型コロナウイルスに対する抗体がつくられることが知られています。

 その新型コロナの抗体について、どのくらいの期間、体内で維持されているのかを調べた結果が発表されました。

 東京大学医科学研究所を中心とする研究グループは、39人の新型コロナに感染した患者さんから採血を行い、その血中に含まれる抗体量を発症から3~6か月にかけて計測、抗体の量の変動を調査しました。その結果、次のことがわかりました。

抗体の量は発症して約20日後をピークに達し、その後は減少
発症から3~6か月後も抗体を検出
・抗体が減る速度は、時間が経つほどゆるやかに
・重症の患者さんほど、抗体の感染を防ぐ力(抗体価)が高かったが、その減りも早かった
・発症60日後以降、重症者と軽症者で感染を防ぐ力の差は小さくなった

 この結果は、一般的な急性感染症の初めての感染時にみられる抗体応答と同様であると考えられるそうです。また、「感染により誘導された抗体がすぐに消失し、再感染が起こるのではないかという懸念を払拭し、新型コロナを発症した患者さんの多くが抗体を一定期間維持することを示している」といいます。

 一方、新型コロナへの再感染例も少数ですが報告があります。「今回の研究において弱い抗体応答しか認められない症例が確認されていることから、初めて感染した際に誘導された抗体価が低かった可能性が考えられます」と、研究グループは述べています。

 一度感染した人も、まだ一度も感染していない人も、感染予防対策を続けていくことが大切ですね。(QLife編集部)

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