専門医より推薦を受けた診療科目・診療領域

防衛医科大学校病院は、複数の有名専門医(※)の間で「自分や家族がかかりたい」と推薦されています。
このページでは、専門医より推薦を受けた分野(科目、領域)の特色や症例数、所属している医師について取材・調査回答書より記載しています。 ※推薦、選定して頂いた有名専門医の一覧表

第2内科(消化器内科)

分野

消化器・一般内科

特色

防衛医科大学校は自衛隊医官の養成を目的に設立された防衛庁管轄の医学教育機関であるが、当院は地域医療機関との連携を重視している。消化器疾患用病床37床をもって大学病院、特定機能病院としての消化器内科診療の高次医療を行っている。特に消化器内視鏡は指導医3人を擁し、インフォームド・コンセントを重視しつつ、診断のみならず各種内視鏡治療を積極的に行い、緊急止血、異物除去、乳頭拡張、乳頭切開、結石除去、経乳頭的胆道ドレナージを含む緊急内視鏡検査、治療にも積極的に対応している。最寄り駅は西武新宿線航空公園駅より徒歩5分。

症例数

外来患者数は延べ16,817人。年間の入院患者数は742人、上部消化管内視鏡検査数2,352例、大腸内視鏡検査数1,323例、早期食道・胃癌、胃腺腫に対する内視鏡的粘膜切除術(EMR)は粘膜切開剥離法(ESD)と吸引切除法(EMR-C)を用い、食道ESD 11例、EMR-C 3例、胃ESD 76例、EMR-C7例、ポリペクトミー9例、緊急止血200例、内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)関連処置406例(原則入院にて実施、砕石91例、外瘻術:経乳頭的経鼻胆道ドレナーシ206例、内瘻術:SEMS 10例、plastic tubeドレナージ37例)、内視鏡的食道静脈瘤硬化療法(EIS)16例、大腸ポリペクトミー155例、肝動脈塞栓術(TAE)は放射線科へ依頼。炎症性腸疾患の入院治療例は84例である

★食道静脈瘤に対する予防的内視鏡治療はEIS(>EVL)を主体に行っている。食道静脈瘤に対する内視鏡治療は2~3週間で概ね終了となる。食道胃静脈瘤破裂に対する緊急止血は、EVLで対応している

★消化管の悪性腫瘍に対しては、低侵襲の内視鏡治療を積極的に第一選択とする

★食道・胃早期癌・腺腫に対しては原則ESD法にて行い、場合によりEMR-C法を用いる。早期胃癌(原則は脈管侵襲、リンパ管侵襲を認めない粘膜内、高分化腺癌)・腺腫に対する治療法の選択は症例に応じており、当科が開発した半導体レーザーを治療選択に加えている

★食道胃静脈瘤以外の上部消化管出血に対する緊急止血は、クリップ法を中心に実施している。最近2年間の緊急止血は、止血率97%である

★消化性潰瘍(出血例)、早期胃癌・腺腫治療後、胃MALTリンパ腫に対するヘリコバクター・ピロリ除菌療法も実施している

★大腸腫瘍に対する粘膜切除術も入院の上(概ね2泊3日)実施している

★総胆管結石に対しては乳頭拡張術を主体に治療しており、経鼻胆管ドレナージを併用している。なお、症例により体外衝撃波破砕装置(ESWL)、胆道鏡を併用している。総胆管結石に関しては、胆管炎合併の有無、個数、破砕の有無により差はあるが、7~10日間を標準としており、95%除去しているが結石径が20mmを超える場合には外科と連携して治療法を決定している。特に胆嚢・総胆管結石症例に対する腹腔鏡下手術と内視鏡的総胆管結石除去術の組み合わせにより、総胆管切開術を避ける努力を行っている

★炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病等)の専門治療として栄養療法、薬物療法(分子標的製剤を含む)に加え動注療法、血液浄化療法も実施しており、良好な治療成績を得ている

★肝疾患に関しても自己免疫性肝疾患、原発性胆汁性肝硬変をはじめ、ウイルス性肝疾患等の積極的フォローアップを行い、肝臓癌はTAE、マイクロ波凝固療法(MCT)、ラジオ波焼灼療法(RFA)、外科切除、持続動注療法、分子標的製剤も取り入れ症例に応じ組み合わせて選択し、消化器外科・放射線科とも連携を図りながら治療している。当科は消化器外科、放射線科、腫瘍化学療法部とも連携を図りながら診療にあたっている。

医療設備

共同運営の内視鏡室に電子内視鏡8セット、エルベICC200、VAIO超音波内視鏡、半導体レーザー等の各内視鏡関連機器を備えている。共同運営の超音波検査室に腹部超音波2台、病棟・外来に各1台。CT、MRI、血管撮影装置等の各種放射線機器。造影下の内視鏡検査処置(ERCP、EISなど)は独立した透視室を具備し実施している。
  • セカンドオピニオン受入 ×
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 ○
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 埼玉県」(ライフ企画 2012年11月)

上部消化管外科

分野

消化器・一般外科

特色

地域密着型高機能病院として病診連携に最も重点を置き、食道・胃の良・悪性疾患のすべてに対して診断から治療までを一貫して、「患者利益を最優先」「温かい人間味のある医療」をモットーとして患者様の日常生活への早期復帰を目標として、外科治療や化学療法を行っている

★外科侵襲という手術の宿命を極限まで軽減する策を常に模索し、良性疾患はもちろんのこと、食道癌、胃癌などに対して内視鏡外科手術手技や侵襲軽減術式を考案、実践している。また進行癌に対しては、患者の長期予後改善をめざし、標準術式のほか、拡大手術や、必要に応じて手術前や手術後に化学療法を併用した集学的治療を行っている

★さらに日本臨床腫瘍グループ(JCOG)の多施設間臨床試験に参加し、我が国における標準治療の確立に貢献している。

症例数

全身麻酔手術件数181例(11年)。食道癌手術23例(うち内視鏡外科手術20例)、胃癌手術90例(うち内視鏡外科手術60例)、胃粘膜下腫瘍手術15例、その他140例。外来患者数約5,000人/年(延べ)、入院患者数約250人/年、病床数25床。初診から手術までは約2週間。

医療設備

MRI、ヘリカルCT、DSA、各種電子内視鏡、HD内視鏡外科手術装置、リニアックその他。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 ○
  • 執刀医指名 ○

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 埼玉県」(ライフ企画 2012年11月)

下部消化管外科

分野

消化器・一般外科

特色

当院の下部消化管外科は多数の大腸疾患手術をこなす国内でも屈指のhigh volume centerである。腹腔鏡手術や直腸癌の局所切除といった低侵襲手術を積極的に行うとともに、高度進行癌は泌尿器科・婦人科・形成外科などと連携し根治性を高める努力を行っている。特に手術難度が高い直腸癌症例が多く集まる特徴がある。10年以上前より化学術前放射線療法を導入、腫瘍を縮小させてから手術を実施することも多い

★また、肛門近傍の進行直腸癌では内肛門括約筋切除(ISR)という新しい手法を導入し、根治性を損なわず、かつ永久的人工肛門を回避する肛門温存手術を積極的に施行している

★早期癌では病理学的悪性度に基づき個別に再発率を割り出し、外科的切除の適応の有無について詳細に説明し治療方針を決定している。以上のように、術後の生活に大きな影響を及ぼす直腸癌や、手術を回避できる可能性のある早期癌では、個々の患者に合わせた最適な治療法を提供するように努めている

★他臓器の基礎疾患を有するため術前術後管理の難しい症例も多く集まる。大学病院であり他科との連携を行いうることが最大の強みであり、麻酔科や内科(心臓・肺・糖尿病など)の医師が術前術後管理に関与、安全性の高い医療を提供している

★術後は当院腫瘍化学療法部や連携病院と連絡をとり抗癌剤治療を適切に実施。肝臓や肺といった遠隔臓器への転移に対しても、積極的に切除し治癒を目指すことで良好な治療成績を得ている

★直腸癌局所再発は特に難易度の高い手術であるが、他院からの紹介も多く、多数の実績がある。近年注目されている重粒子線治療の適応がある場合は、当院から直接重粒子医科学センター病院へ紹介している

★緩和医療は地域と連携するシステムを構築している。在宅緩和ケアを活用しつつ防衛医大病院と共同で医療を提供、自宅で生活できる時間を長く確保できるよう努めている

★国内における大腸癌治療は大腸癌取扱い規約と大腸癌治療ガイドラインに基づいて行われているが、当院下部消化管グループは豊富なデータをもとに、これらの改訂に積極的に参画、臨床のみならず学術的にも日本の大腸外科の発展に貢献している。良性疾患についても内科的治療で十分な治療効果が得られない炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病など)に対しては外科治療が有効であるが、この際術後のQOL(生活の質)改善に重きを置いた術式を選択している。

症例数

大腸癌初回手術は年間約280例(直腸110例・結腸170例)、その他再発手術良性疾患などの手術は年間約150例。大腸癌手術における腹腔鏡手術の割合27%。大腸癌5年生存率(01~05年の手術例)=stageI:98.0%、II:93.9%、IIIa:78.8%、IIIb:62.1%、IV: 26.1%。術前から他臓器疾患を有するハイリスク (ASA3度以上) 症例数19例(11年)、うち術後在院死亡1例(5%)。大腸癌肝転移切除は年間40例、肺転移切除は年間25例、直腸癌局所再発巣切除は年間5例(11年)。00年以降の進行下部直腸癌に対する術前化学放射線療法経験数110例(3年以内の局所再発率3%と局所制御が良好)。

医療設備

MRI、ヘリカルCT、血管造影、大腸内視鏡、超音波内視鏡、超音波、腹腔鏡下手術機器、肛門内圧測定器、放射線治療。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 △

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 埼玉県」(ライフ企画 2012年11月)

内科2(感染症・呼吸器内科)

分野

呼吸器内科

特色

当科は、呼吸器内科、感染症内科、ならびに感染制御までを幅広くかつ専門的に守備範囲としている

★呼吸器内科では、血液や痰の検査、胸部レントゲン写真撮影の他、必要に応じてCTスキャン、RI(核医学)検査、呼吸機能検査、気管支鏡検査、超音波検査などを実施し、迅速かつ正確な診断を行っている。その診断をもとに、十分な根拠と経験に基づく適切な治療を行うよう努めている

★診療の内容については、わかりやすい説明を行い、理解をいただいて実施するよう心がけている。病状により、呼吸器外科をはじめ、消化器内科、腎臓内科などそれぞれの専門診療科と連携しつつ、最善の医療を提供するようにしている

★感染症内科では、HIV/AIDSを中心に、呼吸器感染症、その他の感染症の診療、他診療科からのコンサルテーション対応、院内感染対策等を担当している

★当科の特徴として、呼吸器内科と感染症内科とが有機的に連携し、専門的かつ幅広い診療に対応している。また、防衛省の病院として、SARS(重症急性呼吸器症候群)、鳥インフルエンザ、新型インフルエンザなどの新型感染症や、バイオテロなどの国民の脅威となる種々の疾患にも取り組み、その知識と経験を診療にフィードバックしている。

症例数

年間外来新患数約1,400人、年間入院患者数約200人

気管支喘息=外来での吸入ステロイド療法の徹底的教育により、多くの症例が十分な改善を得ており、喘息による入院は、この数年で5人程度

慢性閉塞性肺疾患=抗コリン薬吸入中心の外来加療により、この数年で増悪による緊急入院は数人

呼吸器感染症=市中肺炎、非結核性抗酸菌症、肺真菌症、肺化膿症、胸膜炎、膿胸など、診断に応じて、適切な抗菌薬による加療を実施している。時に、胸腔ドレナージも実施する

びまん性汎細気管支炎、気管支拡張症など=マクロライド長期少量療法を実施している

ウイルス感染症=HIV/AIDSには、最新の知見を基に外来治療を中心に実施している。入院は年間10例程度

間質性肺疾患=最適な治療法の選択のために、可能な限り胸腔鏡下肺生検を実施している

肺癌=内科入院症例でも肺外科、病理科との定時共同検討により、最適な治療法を選択する。入院症例の約60%は手術対象となっている。内科治療の中心は化学療法と放射線療法の併用療法である。化学療法は、近隣施設と共同して実施している

在宅酸素療法=肺気腫を中心とした低酸素症例のQOL(生活の質)向上と症状緩和を目指し、酸素吸入の導入を実施している

気管支鏡=極力苦痛の少ない検査を目指し、熟達の実地手技により短時間内に検査を完了している。所有内視鏡数約15本、年間実施約200例

超音波検査=肺癌・縦隔腫瘍を中心に、X線被曝の危険のない簡便な検査を実施している。

医療設備

CT、MRI、RI(核医学)検査、呼吸機能検査、気管支鏡検査、超音波検査、半導体レーザー、気管支腔内超音波断層法(EBUS)などを備えている。
  • セカンドオピニオン受入 △
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 埼玉県」(ライフ企画 2012年11月)

整形外科

分野

整形外科

特色

★低侵襲脊椎手術=選択的椎弓形成術、筋肉を温存した椎弓形成術(スキップラミノプラスティー、TEMPL法)、腰椎片側侵入両側除圧術、腰椎棘突起縦割式除圧術などの侵襲の少ない、術後の痛みを軽減することが可能な手術法を積極的に取り入れている。腰椎固定術では従来の椎弓根スクリュー法に改良を加えたCBT(Cortical bone trajectory)法を取り入れることで、より筋肉に愛護的な術式を行っている

★マイクロサージャリーを用いた神経再建手術=末梢神経の外傷や腫瘍切除後の欠損に対してマイクロサージャリーを応用して神経再建手術を行っている。術中には神経電気刺激器や電気生理学的検査機器を駆使して安全な操作を心がけている

★音楽家の手の治療=手指の繊細な動きを必要とする音楽家の手の治療には、特別な診断と治療の能力が要求される。特に手指が自分の意思のとおりに動かなくなるfocal dystoniaという疾患は難治性であり早期診断・早期治療が重要である

★コンピューターナビゲーションシステムによる各種骨・関節手術=当院では08年より術中ポータブルCTとコンピューターナビゲーションシステムが導入された。手術中にCT撮影を行うことで複雑な骨折や上位頚椎、脊柱側彎症の手術などをより安全に行うことが可能となった

★関節鏡視下手術=膝関節(前十字靱帯損傷、半月板損傷)や肩関節(反復性肩関節脱臼、腱板損傷)、肘関節、股関節などでも積極的に関節鏡視下手術を取り入れている

★自衛隊における整形外科医療=自衛隊中央病院、および全国に点在する自衛隊病院の整形外科と連携して、自衛隊整形外科医療の一翼を担っている。自衛隊員は自衛隊病院と同様に医療 サービスを受けることができる。当院では一般隊員の外傷やオリンピック選手のスポーツ障害まで幅広く対応している。トップアスリートである自衛隊員の治療を行う上では、外傷後の機能障害をできうる限り残存させないよう努力している。

症例数

年間の総手術件数は約420例で、ほとんどが主要手術である。整形外科の病床数約50症(12歳以下の小児は、小児の入院管理を専門にしている小児科病棟に入院する)と制限があるので、緊急を要さない慢性疾患の手術は予約が必要であり。現在の手術待機期間は約4カ月である

脊椎・脊髄疾患=変形性脊椎症、脊柱管狭窄症、後縦靱帯骨化症、椎間板ヘルニア、椎間板症、脊椎・分離すべり症、脊椎・脊髄腫瘍、脊髄空洞症、脊柱側彎症、脊椎脱臼・骨折 などすべての脊椎・脊髄疾患に対応できるスタッフをそろえている。歩行障害などをきたす重症例に対しては積極的に手術療法を取り入れ、早期離床、早期社会復帰を図り、良好な成績を挙げている。椎間板ヘルニア、脊髄腫瘍、頚椎症などの繊細さが要求される手術に対しては手術用顕微鏡を用いて、脊髄神経に 影響を与えない方法をとっている。頚椎の手術では筋肉を温存し、障害されている部分のみの脊髄の圧迫を除去する新しい手術法(スキップラミノプラスティー)や脊髄腫瘍や脊柱管狭窄症に対する独自に考案した脊柱再建法を行い、好成績を挙げている。一般に脊柱側彎症の専門医は少ないが、当科には専門医がおり、脊柱の高度変形に対する矯正、固定術を行っている。また、脊髄手術では症例に応じて脊髄誘発電位を測定しながら、手術の安全を図っている

肘関節、手、末梢神経疾患=肩、肘、手関節、手、末梢神経を担当している。肩、肘関節は脱臼、骨折、腱板損傷、肩関節周囲炎(いわゆる五十肩)などのほか、手関節部の骨折、腱損傷、リウマチ、先天異常などを、末梢神経は手根管症候群、肘部管症候群を代表とする絞扼性神経障害、神経損傷、神経炎を対象としている。肩、肘、手関節は関節鏡を用いた治療を行い低侵襲の治療に努めている。手術用顕微鏡を用いたマイクロサージャリーによって神経縫合や血管吻合を行っている。“手の外科”と呼ばれる専門的治療の要求に応じている。手の外傷は初期治療が成績を左右するので専門的治療が重要である。手指化膿性腱鞘炎など感染症に対する持続灌流療法も行っている。日本では専門家の少ない音楽家の手(Musician’s hand)の障害の治療も行っている。末梢神経損傷・障害や音楽家の手の障害では遠方からも多数の患者さんが紹介されて来る。低侵襲、術後早期運動を心掛けて上肢の機能回復に努めている

股関節疾患=変形性股関節症、大腿骨頭壊死症、大腿骨近位部(頚部、転子部)骨折、股関節唇損傷、大腿骨頭すべり症、先天性股関節脱臼、股関節炎などを対象としている。変形性股関節症に対しては、40歳代まではできるだけ自分の骨・関節を温存する骨切り術を適用し、それ以上の世代には人工股関節置換術を行っている。人工股関節置換術は、細菌検出率の極めて低い清潔度の優れた手術室でのみ手術を行うなど合併症の発生予防に取り組み、CT画像を用いた3次元術前計画による人工関節の選択などにより長期にわたり良好な術後成績が維持されている。術後は、約4週間の入院により十分なリハビリテーションを行えるのも当院の特徴である。大腿骨頭壊死症は比較的若い世代に発症しやすいため、可能な場合には自分の骨・関節を残す特別な骨切り術や血管柄付き骨移植術を行っている。大腿骨近位部の骨折は高齢化とともに増加している疾患で、当院では、内科、麻酔科と綿密に連携し十分な全身管理のもとに手術を行い、早期離床を図っている。股関節唇損傷は股関節痛の原因疾患として近年注目されはじめた疾患であるが、股関節鏡を用いた関節内の検査および治療を行っている。小児股関節疾患は、初期診断が難しい場合も少なくない。当院では、専門医の診察のもと、成長後までの長期にわたる治療や経過観察を行う方針としている

膝関節疾患=幅広い年齢層における膝関節障害を対象としている。日常生活に支障をきたすような障害に対しては積極的に様々な手術療法を行っており、新しく侵襲の少ない安全な方法を取り入れている。年配の方の生活を妨げる変形性膝関節症やリウマチ性関節炎に対しては、数多くの人工関節置換術を行っている。以前の手術では20cm程の切開を要したが、最近では半分ほどに小さく改善して手術後の疼痛を軽減し、早期社会復帰ができるように取り組んでいる。また、ハイレベルアスリートや自衛官などのスポーツ障害に多い膝の靭帯や半月板に対する手術も多く治療にあたっている。これらは関節鏡を用いて侵襲の少ない手術を行い早期復帰に役立っている。スポーツ生命を脅かす前十字靭帯損傷に対しては、解剖学的靭帯走行を再建するようにして(解剖学的2重束再建術)を行い、レベルの高いスポーツ復帰のために治療を行っている。また術後のリハビリテーションも重要な要素であると考え、必要に応じて近隣の病院とも連携してリハビリテーションを行っている。その他、骨切り術や軟骨移植術など様々な手術にも対応しており、セカンドオピニオンを含めまずは専門医の診察を受けて最適な医療を受けていただくことをお勧めしている。

医療設備

特殊なもの=(1)仮想内視鏡(バーチャルエンドスコピー):CT値の差を利用して画像処理を行うことにより得られる立体画像を臨床に応用している。脊柱管内や関節内などの従来診断がつきにくかった病態などを観察できる。(2)術中ポータブルCT、コンピューターナビゲーションシステム:手術中に3次元CTを撮影することは複雑な骨折の治療などに効果的である。
  • セカンドオピニオン受入 ×
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 ×
  • 執刀医指名 ×

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 埼玉県」(ライフ企画 2012年11月)

形成外科

分野

形成外科

特色

顔面、手足の先天異常や外傷、皮膚良性・悪性腫瘍、再建手術など、形成外科領域を全般的に治療している。特に、皮膚悪性腫瘍切除および組織欠損に対する再建手術では、関連診療科と協力して、先進的な治療を行っている。

症例数

年間手術症例は全身麻酔 300例、局所麻酔450例

小児先天異常=特に口唇口蓋裂に関しては、形態的改善と同時に発声や嚥下などの機能回復を重視しており、豊富な経験数をもとに安定した結果を残している

皮膚や皮下組織の悪性腫瘍=市内外からの紹介患者が数多く、見張りリンパ節生検や顕微鏡下腫瘍切除などを組み合わせて、必要最小限の切除や整容的な再建方法を組み合わせて確実に治すと同時に目立たないきずあとを心がけている

外傷=新鮮外傷の対応は、通常診療時間はもとより、夜間休日も自宅待機によるオンコール体制を取っており、近隣の医療機関や救急隊からの診療依頼には必ず対応している。新鮮外傷の内容としては、手の外傷(挫滅や神経、腱断裂、骨折等)が最も多く、ついで顔面の皮膚軟部組織損傷が多い。切断指の再接着手術では生着率90%を超える好成績をあげており、挫滅の強いときなど困難な場合でも積極的に再接着を行っている。また、きずあとの修正手術も患者の希望を重視し、数多く行っている

再建外科=腫瘍切除後または外傷後の形態的、機能的な再建手術を行っている。乳房、手足指、顔面(耳、鼻、あご、気管、食道など)が主な対象である

慢性皮膚潰瘍・難治性瘻孔=外科手術のほかに、アルコール注入療法、陰圧閉鎖療法、その他最新の創傷被覆材や薬剤を組み合わせて、なるべく短期間で体の負担の少ない方法で治療している

その他=顔面神経麻痺、眼瞼下垂、巻き爪の治療を多く行っている。

医療設備

色素レーザー、Qスイッチヤグレーザー、炭酸ガスレーザー、高周波電気メス、脂肪吸引器、サーモグラフィー、近赤外蛍光撮影装置、アイシングシステム、手術用顕微鏡、微小血管吻合器、電動アブレージョン、近赤外蛍光撮影装置。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 ×
  • 執刀医指名 ×

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 埼玉県」(ライフ企画 2012年11月)

小児科

分野

小児医療

特色

大学病院として特定機能病院に指定され専門的医療を行う一方、地域の基幹病院として各種急性疾患にも対応している。専門的医療としては、免疫不全疾患への骨髄・末梢血・臍帯血幹細胞移植を筆頭に、血液・悪性腫瘍、循環器、神経・筋、未熟児・新生児、内分泌・代謝疾患など先進的医療を行っている。所沢周辺の医師会・小児科医会と病診連携をもって、紹介患者も多い。

症例数

最近の小児科外来患者数は年間16,000人、1日平均65人前後。一方、入院患者数はこの10年間は漸増し、最近は年間1,000人前後である。野々山教授就任以降、重症免疫不全症への包括的専門的治療が開始され、骨髄・末梢血・臍帯血幹細胞移植が開始されている。他県の医療施設からの入院依頼も多い。他に特定機能病院として、小児の代表的な疾患である血液悪性腫瘍、循環器、腎・尿路、神経筋、未熟児・新生児、アレルギー、内分泌・代謝疾患などを対象とし、専門的、先進的医療を行っている

★血液悪性腫瘍は全国の共同のプロトコールに準じた化学療法を中心とし、放射線療法、外科療法も組み合わせて治療している。骨髄・末梢血・臍帯血幹細胞移植も行い、他施設に遜色ない成績を収めている

★循環器系に関しては、先天性・後天性心疾患に対して、超音波検査、不整脈検査、心臓カテーテル検査などを施行し、小児内科的治療、管理を行っている。学校心臓検診異常者への精査も行っている

★川崎病では、当科で開発した治療法(ガンマグロブリン超大量+ウリナスタチン早期併用療法)により、90年以降の当科入院患児の冠動脈瘤発生率は全国平均に比較して低く、良好な成績を収めている

★小児糖尿病は患者教育を重視し、埼玉県小児糖尿病サマーキャンプでは当科が中心的役割を果たしている

★内分泌疾患では、下垂体性小人症の成長ホルモン療法などを行っている

★神経筋疾患はてんかん、神経変性疾患の診断治療を、脳波、MRI、CTをはじめ、神経生検・筋生検も含め行っている

★腎泌尿器疾患は、腎超音波検査、造影検査、腎生検を含め精査できる体制であり、プロトコールにのっとったネフローゼの治療、透析療法も行っている

★アレルギー疾患は、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーなどの疾患の治療、管理を行っている

★地域のハイリスク妊娠・分娩が当院産科に集中している。産科・小児科の緊密な連携により、小児科に求められる全身管理、呼吸器管理など、周産期の新生児・未熟児医療に対応している。地域的特性により急性重症感染症、喘息発作なども多く、3次救急患者にも対応している。小児病棟では、専門分野を有する小児科医が協同し、意見交換をしながらチーム診療にあたっている

★成長段階に関わる小児の慢性疾患では、身体的関与だけでは不十分なことが多いため、臨床心理士による心理的アプローチが行われ、精神的安定・闘病意欲向上に貢献している。特殊病弱児学級として病棟内に院内学級を有し、入院治療を受けながら学習を続けている。院内学級の存在によりQOL(生活の質)が格段に向上している

★難病支援ネットワークなどからのボランティアを積極的に受け入れ、発育段階の小児の特殊性にも配慮している。

医療設備

無菌室、院内学級(小学校、中学校)。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 ○
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 埼玉県」(ライフ企画 2012年11月)

眼科

分野

眼科

特色

ぶどう膜炎そして網膜硝子体疾患(網膜剥離、糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、黄斑前膜、黄斑円孔、加齢黄斑変性、近視性血管新生黄斑症など)、角結膜疾患、白内障、緑内障を専門にし、最善、最良、最新の医療を提供している。急性期医療を担う中核病院眼科として機能し、救急眼科疾患、眼科の外科的治療およびその周術期医療、難治性眼科疾患の診療に力を入れている。

症例数

11年度の年間外来患者数20,140人、初診患者数2,014人(紹介率72%)。ぶどう膜炎を専門にする病院の1つで、埼玉県で最も多くのぶどう膜炎患者さんが通院している。総手術件数は1,240例で、手術の主な内訳は、白内障896例、硝子体手術264例、網膜復位術40例、緑内障手術35例である

★白内障手術は点眼麻酔、硝子体手術は眼局所麻酔にて行い、低侵襲、感染リスクの軽減を目指し極小切開白内障手術、広角眼底観察システムを用いた23ゲージ、25ゲージ極小切開無縫合硝子体手術を行っている

★網膜剥離に関しては、90%以上が初回手術で復位(治癒)し、黄斑上膜や黄斑円孔などの黄斑疾患に対する硝子体手術でも良好な術後視力が得られている。また、増殖糖尿病網膜症の他、糖尿病黄斑症や網膜静脈閉塞症に対する硝子体手術も積極的に行っている

★ぶどう膜炎の診療、網膜硝子体疾患の手術を専門とし、埼玉県西部の第3次救急病院として外傷などの救急患者さんも積極的に受け入れ、緊急手術にも対応している。

医療設備

光干渉断層計による網膜硝子体精密検査、フルオレセイン、インドシアニングリーンによる眼底造影検査、白内障超音波手術装置、硝子体手術装置、マルチカラーレーザー装置、ヤグレーザー装置、眼内レーザー装置、半導体レーザー装置。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 ○

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 埼玉県」(ライフ企画 2012年11月)

耳鼻咽喉科

分野

耳鼻咽喉科・頭頸部外科

特色

耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域全般にわたる診療を行っている。特に重点を置いているのは低侵襲手術で、様々な領域で行っている。代表的なものは、中・下咽頭癌、喉頭癌に対する経口的内視鏡手術、反回神経麻痺に対するリン酸カルシウム骨ペースト注入術、唾石に対する内視鏡下摘出術である。日本耳鼻咽喉科学会専門医研修施設、日本気管食道科学会認定専門医研修施設、日本頭頸部外科学会認定頭頸部癌専門医認定施設。

症例数

年間外来患者数は約16,500人、年間手術数約500件

頭頸部癌は当科の力を入れている領域で、癌の根治を目指すだけでなく、機能温存に重点を置いた、機能温存手術や化学放射線治療を、インフォームド・コンセントに基づき実施している。特に、中・下咽頭癌、喉頭癌に対する経口的内視鏡手術(レーザー手術を含む)は当科の得意な分野で、従来は頸部皮膚や気管を切開して行っていた手術を、これらを行わずに口から内視鏡を入れて手術を行うもので、患者さんの負担が軽く、術後早期回復が可能で、治療成績も良い。また、従来の頸部外切開で行う喉頭機能温存手術(喉頭部分切除や喉頭亜全摘術)の経験も深い。各種進行頭頸部癌に対する拡大切除および再建外科手術の症例も多い。10年度の頭頸部癌新患者数は185人で、内訳は口腔癌16人、喉頭癌61人、鼻・副鼻腔癌11人、咽頭癌45人、甲状腺癌・唾液腺癌等52人であった。5年生存率は喉頭癌(声門癌)=I期98%、II期92%、III期92%、IV期80%。喉頭癌(声門上癌)=I期83%、II期72%、III期57%、IV期48%。舌癌=I期87%、II期86%、III期69%、IV期31%

★音声外科も当科の得意とする分野で、電子内視鏡やストロボスコープを用いて、適切な診断を下し、手術あるいは保存的治療を適宜選択している。手術としては、声帯ポリープ、声帯結節、ポリープ様声帯等に対する喉頭微細手術や反回神経麻痺に対する声帯内注入術や甲状軟骨形成術を行っている。特に声帯内注入術においては、リン酸カルシウム骨ペースト(BIOPEX)を注入材料として用いることで、長期にわたってほとんど吸収されることがなく、良好な音声を保持できる

★嚥下障害に対しては、嚥下造影検査、嚥下内視鏡検査等で評価を行い、適応がある症例には嚥下機能改善手術や低侵襲の声門閉鎖術を行っている

★唾液腺疾患に関しては、耳下腺、顎下腺の炎症性疾患、腫瘍性疾患等の診療を行っており、耳下腺腫瘍の手術の際には、全例に顔面神経のモニタリングを行い、顔面神経の確実な保存に努めている。唾石症に対しては、従来外切開でしか取れなかった奥の唾石や耳下腺唾石に対しても、専用の唾液腺管内視鏡やレーザーを用いて、皮膚を切開せずに口腔内からの低侵襲手術を行っている

★突発性難聴、メニエール病等の軽症例は外来通院にて、重症例には入院加療を行いステロイドおよびプロスタグランジンE1の点滴加療を行っている

★良性発作性頭位眩暈症は高頻度にみられるめまい疾患であるが、これに対しては積極的に理学療法(耳石置換法)を行っている

★顔面神経麻痺に対しては、ステロイドおよび抗ウイルス薬の点滴治療を行い、筋電図検査で予後判定も行う。予後不良と判定された場合には積極的に顔面神経減荷術を勧めている

★慢性中耳炎や真珠腫性中耳炎に対しては鼓室形成術を積極的に行っている(年間症例数40~50例)

★耳硬化症に対して炭酸ガスレーザーを用いたアブミ骨手術を行っている

★慢性副鼻腔炎・鼻中隔湾曲症に対しては、内視鏡を用いた鼻・副鼻腔手術を行っている。

医療設備

MRI、CT、超音波、電子鼻咽喉頭内視鏡、下咽頭電子内視鏡、喉頭ストロボスコピー、炭酸ガスレーザー、ハイビジョン手術用内視鏡等。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 △

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 埼玉県」(ライフ企画 2012年11月)

血液内科

分野

血液内科

特色

血液内科では血液疾患全般の診療を行っているが、特に血液悪性疾患(白血病、骨髄異形成症候群、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫など)や血液難病(再生不良性貧血、特発性血小板減少性紫斑病など)の診療に力を入れている

★当科ではベッドアイソレーター(簡易無菌装置)10台を用意した21床の一般病棟と、準無菌室3床、造血幹細胞移植専用に用いる無菌室2床に患者さんを収容し、血液専門の医師が、形態学的診断、モノクローナル抗体を用いた免疫学的診断、染色体診断それに遺伝子診断を駆使して正確に病気を診断し、患者さんおよびご家族と十分話し合い、インフォームド・コンセントを得たうえで、現在可能な最新で最善の治療を患者さんに提供することを心掛けている

★造血幹細胞移植療法(同胞間や非血縁者間骨髄移植、自己末梢血幹細胞移植、さい帯血移植)、免疫療法、サイトカイン療法、それに分子標的療法などの最先端医療を積極的に実施するとともに、造血幹細胞移植成績の研究や新しい分子標的療法薬の開発研究も行っている

★なお、木村教授と佐藤講師は日本血液学会専門医であるとともに指導医。当院は日本血液学会研修施設、骨髄移植推進財団認定の非血縁者間移植および採取施設、さい帯血バンクの認定施設である。

症例数

11年中に入院した血液疾患の患者数は延べ約200人である。以下に当血液内科で診療した代表的血液疾患の入院患者数と治療方針を述べる

急性白血病=40例。初診時に急性白血病が疑われたら直ちに骨髄検査を行い、形態学的診断、免疫学的診断、染色体検査、それにDNA診断を行い、可能な限り早急に治療を開始する。急性骨髄性白血病や急性リンパ性白血病は日本成人白血病治療共同研究グループ(JALSG)のプロトコールに従って寛解導入、地固め療法を実施する。感染症対策として、ベッドアイソレーターあるいは準無菌室を用いて対応する。また、悪性度、年齢、病期、QOL(生活の質)を考慮して、患者さんおよびご家族と十分話し合ったのち、インフォームド・コンセントを得た上で治療を開始する。当院での急性骨髄性白血病の完全寛解率は80%以上、5年無病生存率も約40%と良好であり、全国的にみて高い水準にある。条件が整えば、血縁者間同種移植(骨髄・末梢血)、非血縁者間同種骨髄移植、あるいはさい帯血移植療法を積極的に実施している

悪性リンパ腫=100例。ホジキン病はABVD療法や放射線療法、非ホジキンリンパ腫は最も多いびまん性大細胞型にはリツキサンとCHOP療法、その他は病型毎に治療法を選択して治療している。化学療法は近隣医療機関と提携して外来中心で行い、患者さんの日常生活をできる限り妨げないように心掛けている。また、適応のある患者さんには自家末梢血幹細胞移植を積極的に実施している

多発性骨髄腫=40例。ベルケイドやサレド、レナリドミド、ゾメタで治療し、適応のある患者さんには自家末梢血幹細胞移植を行っている

骨髄異形成症候群=20例。軽症例は診断から経過観察までを外来診療で行い、患者さんのQOLを考慮している。白血病移行例や感染症合併例は入院のうえ、化学療法や抗生物質療法を行う。高リスクの輸血依存例はビダーザを、また条件が整えば造血幹細胞移植を実施する

慢性骨髄性白血病=7例。タシグナやスプリセルで治療を開始し、ENLのガイドラインに従って評価を行い効果が不十分な場合には他の薬剤に切り替え、適応があれば造血幹細胞移植も行っている。分子標的治療薬であるグリベックを用いた治療成績をAnnals of Hematologyに発表している。慢性期患者は原則的には外来通院で治療する

再生不良性貧血=6例。輸血が必要な重症再生不良性貧血に対しては、抗胸腺グロブリン製剤(ATG)とシクロスポリンを併用した免疫抑制療法を行う。中等症や軽症の場合は原則的には外来治療となる。

医療設備

CT、MRI、無菌室2ユニット、準無菌室3床、ベッドアイソレーター10台、成分採血装置を備えている。
  • セカンドオピニオン受入 △
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 ×
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 埼玉県」(ライフ企画 2012年11月)

内科3(膠原病アレルギー内科)

分野

リウマチ・膠原病内科

特色

当グループは広くリウマチ・膠原病疾患を対象とする。内外の診断・治療法の進歩をもとにevidence based medicine(EBM:根拠に基づく医療)を丹念に実施している。リウマチ・膠原病診療は、他科との良好な協調関係が必須であり、診断・治療に関連する各科と密接なコンタクトを保っている。

症例数

★リウマチ・膠原病疾患の入院患者数は年間100~120人。関節リウマチ(RA)は、抗リウマチ薬・免疫抑制薬・生物学的製剤を積極的に使用し、QOLの低下を最小限にとどめる成績を得ている。手術の必要な症例は、当院整形外科の各領域専門医に紹介し、手術に適したタイミングに遅れることのないよう注意を払っている

★全身性エリテマトーデスは、腎症・中枢神経症状など難しい病態が多いが、体外循環療法・免疫抑制薬等の使用・工夫により治療成績は向上している。皮膚筋炎・多発性筋炎は、悪性腫瘍の全身検索を行うとともに、筋炎や間質性肺炎の病勢抑制を図っている

★ベーチェット病に対しては、眼科と密接にコンタクトをとるとともに、禁煙および口腔ケアの指導を行い、必要に応じ歯科・口腔外科へ紹介している

★リウマチ・膠原病疾患は骨粗鬆症の合併頻度が高いため、骨塩定量を行って骨粗鬆症を早期に診断し、積極的に加療している。またこの分野の疾患は、ステロイド・免疫抑制薬の使用により、種々の感染症を合併する頻度が高いため、その予防・早期治療にも力点をおいている。

医療設備

大学病院として標準的な設備を備えている。 
  • セカンドオピニオン受入 ×
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 ×
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 埼玉県」(ライフ企画 2012年11月)

内科3・神経内科(神経・抗加齢血管内科)

分野

神経内科

特色

スタッフ3人と研究科生数名で神経疾患を幅広く扱っている。特に多発性硬化症、ギラン・バレー症候群をはじめとする免疫性神経疾患の診断・治療に力を入れている。最新の治療、治験も積極的に行っている。病床数は10床前後であるが、近隣に神経専門病院が少なく脳炎などの救急対応も多い。パーキンソン病をはじめとする神経変性疾患も診療している。専門研修医もスタッフの指導下に診療に関与している。外来は完全予約制であり、初診は病診連携を介した医療機関からの紹介予約が必要である。

症例数

神経変性疾患=パーキンソン病が圧倒的に多く150例近い。薬物療法が中心である。進行したパーキンソン病患者の外科的治療については日大医学部、都立神経病院、国立精神・神経センター病院の脳神経外科へ紹介している。他にパーキンソン関連疾患(20例/年)、脊髄小脳変性症(50例)、筋萎縮性側索硬化症(50例)など。遺伝子診断は東京大学等の他施設へ依頼している。後方病院を持たないため、往診可能な開業医、近隣の中規模病院、介護施設と連携して神経難病の治療にあたっている。在宅看護支援、長期リハビリテーションなどは他施設へ依頼している。当院は埼玉県の難病治療の協力病院であり、難病連絡会議のメンバーである

免疫異常の関与した神経疾患=多発性硬化症(延べ30例)、免疫性末梢神経疾患(ギラン・バレー症候群など)(20例)については自己抗体等の研究を行っており、インターフェロン、免疫グロブリン療法、血液浄化療法、生物学的製剤を用いた免疫修飾療法などの最新治療を行える。重症筋無力症(延べ60例)も多く、当院胸部外科との連携で専門的治療を行っており、成績も良好である

神経筋疾患=筋電図検査、神経・筋生検を行い診断、治療を行っている。筋電図は帝京大学からの非常勤講師、生検については国立精神・神経センター、東京大学神経内科との連携して行っている

てんかん、脳血管障害、脳炎、髄膜炎=てんかんの外科的治療は都立神経病院脳神経外科へ依頼している。てんかん重積にも対応するが病床が少なく、近隣医療施設へ紹介することが多い。脳血管障害患者も受け入れているが、当院に脳血管センターはないため他科受診中や入院中に発症した患者の診療が主である。感染症も特に脳炎には積極的に対応している。

医療設備

電気生理機器(神経伝導検査、針筋電図、誘発電位ほか)、脳波計、CT、MRI(1.5テスラ、3.0テスラ)、脳血流シンチグラフィー。
  • セカンドオピニオン受入 ×
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 /
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 埼玉県」(ライフ企画 2012年11月)

脳神経外科

分野

脳神経外科

特色

76年開設。学生教育のみならず、所沢を中心とした地域の中核病院として脳神経外科全般の診療を行う。脳腫瘍、脳血管障害、頭部外傷、先天奇形、機能的脳神経外科と全般にわたる診療が行われている。http://www.ndmc.ac.jp/hospital/sinryo21.html

症例数

★破裂脳動脈瘤によるくも膜下出血に対しては、24時間体制で急性期手術(開頭クリッピング術)を原則として行っている。症例によって血管内手術を行っている。続発する脳血管れん縮に対してコンピューターソフトのSAH マネージャーを導入し、水電解質の管理を徹底し良好な成績をあげている。年間約70症例のくも膜下出血を扱っている。未破裂脳動脈瘤の手術は原則的に開頭手術を行っている。近年、頸部頸動脈狭窄に対する頸動脈内膜剥離術も増加し年間20例に達する。血管内ステント留置も実施している

★脳内出血に対しては、開頭血腫除去、CT定位脳手術、神経内視鏡下血腫吸引、保存的治療を症例ごとに選択し行っている

★動静脈奇形、血管腫の治療に際しては出血例に対しては手術療法を原則としているが、血管内手術、リニアックCT定位放射線手術も併用している

★脳梗塞急性期症例には3テスラMRIによる診断に基づく血栓溶解療法を積極的に行っている。水素ガスを使った高度先進医療も行っている

★脳腫瘍に対してはナビゲーション、蛍光色素、術中モニタリングを駆使した手術療法(開頭腫瘍摘出術)を行い、腫瘍組織の増殖能を評価し、それに基づいて定位放射線手術、化学療法、免疫療法を併用している。悪性神経膠腫に対して新規放射線化学療法を行っている。年間約80症例の脳腫瘍を扱っている。下垂体腺腫に対する経鼻孔手術の症例も20例に達する。術後下垂体前葉機能の回復する症例が多く成績は良好

★顔面けいれん、三叉神経痛等に対する機能的脳神経外科、遷延性意識障害に対する脊髄硬膜外刺激なども行い、良好な成績を得ている。神経内視鏡も導入し、水頭症などの新しい治療も手掛けている。

医療設備

3テスラMRI、64列CT、DSA、オープンMRI、神経内視鏡、SPECT、定位放射線照射装置。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 ○
  • 執刀医指名 △

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 埼玉県」(ライフ企画 2012年11月)

放射線科

分野

放射線科

特色

大学院生を含めスッタフの12人が日本医学放射線学会の専門医である。このうち3人は日本核医学会専門医で、その他、超音波学会、IVR学会などの認定医、専門医となっている。心臓カテーテル検査を除くほとんどすべての画像診断と核医学検査は放射線科が担当している。放射線科病棟15床、放射線治療病室2床は現在閉鎖中であるが、診療各科に依頼して入院加療が可能になっている。埼玉県がん診療指定病院の指定を受けており、埼玉県内の他病院と連携を取り、画像診断、放射線治療、RI内用療法の協力体制が確立している。FDG PET-CT検査は近隣の施設に依頼し、その画像はすべて画像端末で参照可能である。自衛隊中央病院と連携し、高精度放射線治療を行っている。バセドウ病、甲状腺癌、骨転移疼痛緩和に対するRI内用療法も他院と連携しながら対応している。最新SPECT-CT装置、アフターローディング子宮癌小線源治療装置の導入が計画されている。

症例数

★画像診断部門での11年度の検査件数はMRI 5,809件、CT 14,039件、核医学1,200件、IVR 538件などであった。毎週開催される臨床各科とのカンファレンス、CPC(臨床病理カンファレンス)などを通じて臨床各科、基礎講座と協力して研究、教育、臨床を行っている。産科・婦人科領域では、MRIによる胎児の画像診断、婦人科領域の腫瘍診断のほか、UAE(子宮動脈塞栓術)などのIVRを積極的に施行し、良好な成績を収めている。泌尿器科領域ではMRIによる前立腺癌病期診断が行われ、放射線治療、高密度焦点式超音波治療に生かされている。CT、超音波を利用し、腎細胞癌に対するRFA(ラジオ波焼灼療法)を積極的に施行している。多くの肝癌患者さんにCTアンギオなどの画像診断を行うとともに、選択的肝動脈塞栓術、抗癌剤動注を行っている。また、血管外科、脳神経外科と協力して50例前後の四肢、頭部血管狭窄、動脈瘤を有する患者さんに血管拡張術、ステント留置術、コイル塞栓術を施行している

★核医学部門では、3台のSPECT装置を駆使して診断・内用療法を行っている。脳神経外科と協力し、内頸動脈閉塞症患者さんの手術適応のために脳血流スペクト(SPECT)による脳血流量定量化を年間50例以上行っている。バイパス手術後患者さんは症状の改善を認めている。狭心症患者さんではCT冠動脈造影のほか運動負荷、薬剤負荷、心電図同期心筋血流スペクトによる心筋血流評価を年間300例以上行っている。難治性バセドウ病患者さんの放射性ヨウ素 I-131による内用療法は安全な治療法で、大きな副作用もなく、外来で治療可能であるので、紹介患者を積極的に治療している。分化型甲状腺癌術後の患者さんに対しても、関連施設と連携を取りながら、治療を勧めている。骨転移を有する患者さんの疼痛緩和を目的にした塩化ストロンチウム治療も、関連施設と連携を取りながら受け入れている。FDG PET-CT検査は近隣施設とたえず連携をとりながら、その情報を治療方針決定に取り入れている。最新の一体型ハイブリッドSPECT-CT装置の導入に向けて計画中である

★放射線治療部門では、当院、自衛隊中央病院、他院と連携をとりながら各種癌患者さんの治療にあたっている。11年度は271件であった。IMRT(強度変調放射線治療)に関しては、自衛隊中央病院と協力して放射線治療を行っている。アフターローディング小線源治療装置を更新中であり、現在は施行していない。乳癌における乳房温存放射線治療は、他院からの紹介を含め年間50例以上の患者さんに主に外来通院で外照射が行われている。放射線治療は乳房の形態温存治療に貢献している。そのほか、白血病患者さんに対する全身照射、悪性リンパ腫、喉頭癌、食道癌、肺癌、大腸癌再発の患者さんなどが連日治療を受けている。

医療設備

CT、CTアンギオ、シネアンギオ、MRI、骨塩定量装置、SPECT、リニアック。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 埼玉県」(ライフ企画 2012年11月)

救急部

分野

救急医療

特色

埼玉県西部地区の主幹救命センターであり、ICU 4床、CCU 9床、救命センター24床を有する。臨床、教育、研究の他、メディカルスタッフとの綿密な連携を柱とし、それらの有機的バランスを重んじる。一施設で5人の日本救急医学会指導医を擁している救命センターは全国でもごく少数である。防衛庁の施設であり、災害対策、派遣なども積極的に行う。自衛隊や米軍と協力して、災害における大量被災者収容の共同演習を行っている。診療、研究、教育に関しては他の大学病院となんら変わるところはない。学生は自衛隊員であり、実直で優秀である。ユニークなのは防衛医学講座を有していることである。卒後は厚労省の基準に則り研修ローテーションする。

症例数

2次および3次救急疾患を収容するが、内因性急性疾患に関しては他科が担当する(例えば、脳卒中は脳神経外科、虚血性心疾患は循環器内科、消化管出血は消化器内科など)。ただしショック状態の患者は、当科が初療を行い、バイタルサインが安定した時期に専門科に転科する

★年間の収容例数は631例で、うち鈍的外傷171例、CPA(来院時心肺停止)166例、薬物中毒99例、鋭的外傷21例、熱傷12例、感染症16例であった。死亡例は鈍的外傷19例(出血性ショックの1例を除き頭部外傷が主体)、鋭的外傷1例、熱傷2例、薬物中毒1例、感染症3例であった。手術症例は整形外科領域や特殊な症例を除けば当科で手術を行う

★全身麻酔下の手術症例数は、頭部21例、胸部5例、腹部14例、四肢その他25例であった。CPAの社会復帰率は最近著明に上昇して4~5%に達し、全国平均の1%を大きく凌駕している

★所沢市のドクターカーを平日の日勤帯に限定して病院内に常駐しており、救急隊員の教育も兼ねている。救急隊員と毎月症例検討会を開催しており、コラボレーションは極めて良好である。

医療設備

救命救急センターとして必要な機器は常設している。救急初療室(蘇生室と呼ぶ)は最大4人を収容することが可能である。
  • セカンドオピニオン受入 /
  • 初診予約 /
  • 主治医指名 /
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 埼玉県」(ライフ企画 2012年11月)

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