出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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特発性門脈圧亢進症(IPH)
とくはつせいもんみゃくあつこうしんしょう(IPH)

もしかして... 肝硬変  門脈圧亢進症  静脈瘤

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特発性門脈圧亢進症(IPH)とは?

どんな病気か

 脾腫、貧血、門脈圧亢進を示し、しかも原因となるべき肝硬変、肝外門脈、肝静脈閉塞、血液疾患、寄生虫症、肉芽腫性肝疾患、先天性肝線維症などを証明できない病気と定義されています。バンチ病といわれたものとほぼ同一の病気と考えられていますが、本症は肝硬変に移行しないことが異なります。

 この病気は、中年の女性に多いとされています。

原因は何か

 旧厚生省の難病研究班で本症の原因について検討されてきましたが、いまだ解明されていません。感染症が原因といわれた時期もありましたが、現在では免疫学的機序(仕組み)が重視されています。

 病態としては、肝内の門脈末梢枝が何らかの要因により潰れたり、一部では消失しているといわれています。

症状の現れ方

 ①脾腫、②動悸、息切れ、易疲労感(疲れやすい)などの貧血による症状、③吐血・下血の3大症状と、全身倦怠感、腹部膨満感などの症状があげられます。

検査と診断

 肝炎ウイルスの検査、肝機能検査、巨脾の有無、肝生検などにより肝硬変と区別することが重要です。

 とくに、巨脾性肝硬変との区別は困難で、門脈造影など詳しい検査が必要となります。

治療の方法

 門脈圧亢進症(食道・胃静脈瘤)に対する治療が中心となります。このほかに脾臓摘出術あるいは脾動脈塞栓術を行うことが必要です。

予後について

 食道・胃静脈瘤がコントロールできれば、多くの症例は予後良好です。少数例では肝機能が徐々に悪化し、肝不全で死亡することがあります。

特発性門脈圧亢進症(IPH)と関連する症状・病気

(執筆者:朝倉医師会病院院長補佐 荒川 正博)

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