B型急性肝炎
びーがたきゅうせいかんえん
B型急性肝炎とは?
どんな感染症か
B型肝炎ウイルス(HBV)の初感染による感染症です。HBVの構造は、表面をHBs抗原がおおい、内部にHBc抗原があり、そのなかにDNA遺伝子が入っています。
感染源はHBVを含む血液や体液です。感染経路としては、輸血、母児間感染、血液がついた注射針による誤刺入、性行為などがあります。輸血による感染は、献血血液のHBVのスクリーニング(ふるい分け)検査により、母児間感染はHBs抗体含有ガンマグロブリンとHBワクチンにより感染を防ぐことができます。近年、性感染症としてのB型急性肝炎が多くなっています。
症状の現れ方
潜伏期間は短くて4週、長くて6カ月、平均1~2カ月です。
初期には黄疸、全身倦怠感、食欲低下、吐き気、嘔吐などの症状が出ます。そのほかに、顔面や手の皮膚に発疹が出たり、関節痛、筋肉痛、神経痛を合併することがあります。通常は1~2カ月で症状がなくなり、ウイルスも消失します。
注意を要するのは、急激に病状が悪化して劇症肝炎になることで、これは死亡率が高く予後不良の病気です。多くは突然変異したHBVの感染で発症し、強い黄疸、出血症状、意識障害が特徴です。
検査と診断
B型急性肝炎は、HBs抗原とIgM型HBc抗体陽性で診断されます。
通常は、肝臓から出る酵素のAST(GOT)、ALT(GPT)の血中レベルが1000単位以上(基準値は35単位以下)に上昇し、総ビリルビン(基準値は1mg/dL以下)の上昇がありますが、経過とともに正常化します。
劇症肝炎ではAST、ALTは数千以上に上昇し、短期間に降下します。総ビリルビンは上昇の一途をたどり、プロトロンビン時間、トロンボテストなどの血液凝固時間が延長します。
治療の方法
通常の急性肝炎では特別な治療はしないで、安静と補液で十分です。HBs抗原とHBV DNAが長く残る場合は、核酸類似薬の投与をします。
劇症肝炎の場合は血漿交換療法が行われますが、効果のない場合は肝移植が行われます。
病気に気づいたらどうする
重症化する危険があるので、入院治療が原則です。発症初期の血液は感染性があるため、血液の取り扱いには注意が必要です。
B型急性肝炎が治癒後、肝生検をすると軽度炎症が長期に持続するという論文を見ました。 CTLという免疫が…